2年ぶりの新刊!ファイブスター物語18巻のネタバレ付き感想です…なのですが、私はこのブログで普段から連載分も追いかけ毎月10日はネタバレ付き感想を書いております。(ただしあらすじ等はありません)ですので総じて「振り返り」に近い傾向になります。
そして今回も前後編でお送りしますけども…
- 前編は…うーん、読まなくて良いかと。(オイ!)
- 後編は…変なことばかり書いております。
すみませんがその旨ご理解頂いたうえで、それでも良いという方だけどうぞ。
※FSS18巻と同時発売のニュータイプ4月号のネタバレ付き感想については、一応先ほどできました。良かったら文末のリンクからどうぞ。
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目次
1. この物語を改めてまとめて読んでみて。
まず一通り読んでみるわけですが…真っ先に読み終わって思ったのが
「2年待って、待望の新刊を手に取ったみなさまにとってみれば、このボリュームと情報量に圧倒されて、感情がおおいに揺さぶれて大満足された方が多いのだろう。」
「それこそ涙を流した方も少なくない。きっとそうなんだろうな。」という推察です。
そして自分も出来たらそうありたかったな。と思ったのですけども…。
「単行本が出たら手にとってみる。そういう選択も良いのかも知れませんね。人生他にやるべきこともやりたいことも沢山あるのだし。」という気持ちはすぐにかき消されましたけども、なんだか一方でどこか人ごとのような気分になった理由は、後々書いていくことにします。
2. 表紙について。
チャンダナがGTMの腕?からとある(ドアランデアスティルーテがいる)世界に降り立って蝶々たちを眺めている…なんでしょうけども、このGTMってダス=ゴーストかと思っていたんですけども、でもミラージュのギザギザが入っているような気がするので実はカイゼリン→ゼノア・アプターブリンガーなのかな?という気もしてきました。
彼女「カイゼリンスーツ」着てますしね。
蝶々はいろいろな解釈もありそうなんだけども、私は直感で「ダイ・グと祖母の剣聖慧茄かな?」と思いました。ピンクの蝶はクリスティン・Vの方が寄り添った感が出てロマンチックなのですけども、クリスティンはこの世でまだまだやることがあるはずなので…。それにチャンダナのマスターだったひとはこの二人だけでしょうし。
でもどちらにしてもオレンジの蝶→ダイ・グだと思いましたし、この表紙を見た頃に「MSキュベレイが蝶のモチーフだということ」を偶然知った(オイ)私は、あの感じだと彼は将来のテンパラー候補なのかな?といういう印象を持ちました。
(天照がもう一つの寿命が目を覚ましていく、言っているのが意味深でしたし…。)
ただテンパラーって一体何のことかさっぱり分かりませんけども…😂だけども18巻に出てきている「クージャ・テンパラー」は中の人?が星団暦1700年頃のクバルカン少女騎士、トワイス・カテリ卿みたいですし、この方はやがて3225年のスタント遊星攻防戦で破烈の人形で戦います。(AFは静。ミューズ・レイバックも存命みたいだけど)
となると、そのうち(大分先かもですが)ダイ・グも何らかの形でジョーカー太陽星団に帰ってくるのでしょうか?(って勝手に殺さないように…。彼は次の19巻にも登場します。)
このあたり、ファイブスター物語で、この先登場人物の生死を超えた何かが描かれそうな予感がするのですけども、そちらについては後編の方で思ったことを書いています。
3. 知らなくて良いことなのか、知り得たことが眼を曇らせているのか。
冒頭で書いた「単行本を心待ちにして手に取った方は大満足だと思う」という何処か人ごとのような感想は、連載時というか、それ以前に得ている情報との齟齬があちこちで生じていており、それが自分の中にあるコンパスのようなものをあちこちで狂わせているからだと感じています。
恐らく読まれた方のFSSに対する認識が「単行本に収められている位の情報量」ならば、あまり気にならないで一気読みし「嗚呼面白かった!」となることと思います。
(そして19巻を待つ…ただ今回も休載がなく連載進行が順調だったのにも関わらず何故か18巻の出版が遅れたので(KADOKAWAへのサイバー攻撃が関係あるのかも知れませんが不明)19巻の出版は意外と早いかも知れません。予告通りならば今のお話連載が来月再来月くらいで終わってここで一区切りになりますし、何より来年の3月は”ファイブスター物語連載40周年”だからです。)
ではその「狂い」はどこから来ているのか。知りたい方ばかりではないと思いますけども、このブログは自分の整理も兼ねて書いているので、一応ここでは主にこの先3点を示しておくことにします。
- チャンダナのカイゼリン・スーツから来る疑問
- ファティマ・リレーについての疑問
- パルスエットへの疑問
4. チャンダナのカイゼリン・スーツから来る疑問。
普段はファイブスター物語の単行本だけをお楽しみの方でも、FSSには連載時から様々な情報が示され、また時々「副読本」として様々な形のイラスト設定資料集が出版されていることをご存知だと思います。
最近ですと去年発売されたDESIGNS7・ASH DECORATIONがそうですね。
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この副読本、大型でお値段も大抵3K~5K円位(D7はB4サイズで6600円)しますし、ファイブスター物語は単行本だけでも十分に楽しめる内容になっているためこの本を買うかどうかは読者の熱量に委ねられていると思いますけども、それでも「ジョーカー太陽星団の世界をより知りたい」「少しでも先のことを理解したい」「デザインのより鮮やかな、細かい部分を知りたい」方には必須アイテムのひとつであると私は考えています。
ところが…
カイゼリン・スーツを着たチャンダナが登場し、GTMダス・ゴーストが出てきた時に、単行本をめくられた多くの方は「MHプロミネンスに対応したカッコいい機体が出てきた」と感激されたかと思うのですけども、当時私はここでとあるバグが起こりました。
「ダス・ゴーストはカイゼリンの兄弟騎であることはそうだとしても、エンジンがペダンエンジンだなんて聞いてない!!」
※ペダンエンジン→超帝国時代のGTMシュッツィエンに使われているもの。因みにクリスのメロウラ(バンシーカ)に載せられているエンジンは映画ゴティックメードの時代から元々違う。
「DESIGNS4(2014年発行)にあるカイゼリンの設定に”現存する最後のペダンエンジン”と書いてあるじゃないか!(14頁)」
「それに、カイゼリン・スーツというけども、いくらこれらがダス・ゴースト等と兄弟機だとしても、星団暦476年に聖宮ラーンに渡ってそれきりのGTMの意匠でファティマスーツが作られるか??」
「ファティマが誕生したのは2300年、服の意匠であるアシリア・セパレートが古くて2500年代のものだとしても、国家間あるいは聖宮ラーンとの交流がなくてそんな揃いの物ができる?」
※カイゼリン・スーツは2着あり、現在もう1着はカイゼリンの主であるデプレ・ピートのAFコンコードが持っている。カイゼリンは近い内にAKDに渡りゼノア・アプターブリンガーになってスーツは多分ファティマ・タワーが着用…かと思ったら更に(AKDに行く前?)18巻で登場したダスニカ神聖連合の聖弟ナラリタのAFハスノホルテが着用する予定と予告されている…。でもカイゼリンがAKDのもとに来るの魔導大戦ラストとも予告されていて、だとするとコンコードがカイゼリン・スーツ着る機会、なしかあっても1回??
「ダイ・グと詩女フンフトとの婚姻が成立、あるいはそれ以前にフィルモアとラーンとの間で何らかの交流があったのならば”じゃあ揃いのスーツを作りましょう”でもとなるかもしれませんがそんな物語や記述あった??」
※前者は一度対面しただけで不成立。後者は…18巻26頁のダイ・グのセリフで出てくる”にきたまの詩女ナカカラ様の時代”は2000年初頭の話でまだファティマの存在は誕生していない。2989のコーラス=ハグーダ戦でフィルモアとハスハが戦線を組もうとしたけど成立しなかったし、そこで聖宮ラーンは蚊帳の外だったしムグミカさんが同意しないだろうし…。というかこのスーツが存在する最大の理由、「シリアル・インジェクター無制限(フィルモアとミノグシアのGTMを同時にコントロール出来る)機能って一体どこいった??」
「それになんでダス・ゴーストは乳白色なの??カイゼリンおよびカイゼリン・スーツに無理やり合わせてきたの?18巻表紙の蝶がもしもダイ・グならばそれこそ山吹色じゃないの??バンシーカはMHネプチューンと同じ路線色になったのに。」
「(それに)GTMダス・カイザースってメリンダ・クルップ博士の新型GTMじゃなかったの?(D4134頁)いつの間にかカイゼリン・ファミリーの”プリンシパル”に取り込まれて”ボリジョイ=グーガント→プリンシパル→ダス・カイザース”になってる…」
※ダス・カイザースは当初ノルガン・ジークボゥことレーダー9の旗騎のはずだった。今はダッカス・ザ・ブラックナイトになっている。この辺は今回書きたいことと関連するものの蛇足も激しいからこれ以上書くのはやめますが。
…ハアハア。(鍵括弧だけで描写に1時間位かかった)
姿が出てきただけでこれだけの疑問がただのイチ読者でも生じてしまったのだから、そりゃストレートに感激できないわけです…。
5. ファティマ・リレーについての疑問。
ここは短くしよう…。
単行本18巻では連載時の疑問に答えるかのように解説が巻末についていました。「オーバーマインド、個は全、全は個」という考えなのですね。
だとしたらF1ファティマに様々な能力特性がもたらされたのも分かる気がします。人間たちにはこういった感覚はないですものね。みんな違ってる。全には決してならない。
でも多分バランシェ系以外の多くのファティマ達が協力しているんだろうというのは展開から想像もできるんですけども、目立つのは彼らだけなのでやっぱり(クローム・バランシェの45人のAF達全員)をお披露目っぽい側面もあったのかな。とも思います。
※45名→ここではバランシェ・ボディ除き一応マキシを入れた形
ただ申し訳ない、これは私の感受性不足なのだと思いますけども「どうしてその行為がチャンダナをそこまで追い込んでいるのか」が未ださっぱり分からない…。14巻のクロス・ジャマーでのファティマ・ビルドのホストぶりや、マザーコードを突破するときの臨界状態の方がよほど限界感が描写されてたような気がしてしまいます。
6. パルスエットへの疑問。
これは20世紀からの古いファンにしか分からないかも知れないのですけども、雑誌掲載のころから、「キャラクターズではミラージュ騎士ヨーンのパートナーになっていた」「JOKER3100のイラストはどうするんだよ!」という話になり、悲しみとともに失望された方も少なくなかったかと思います。
この結末では「ミラージュ騎士ヨーンのパートナー」とは言えませんものね…。
そして「JOKER3100」という昔の副読本の話をしなくてはならないでしょう。
私はこの本を、ブログを書くようになった2012年頃新品をボークスで買いました。(現物は2001年再販だったみたいです。ということは10年近くお店にあったということ?)
この副読本は他のものとは一線を画していて、メカやキャラクター設定画+解説での構成ではなく、「3100年のジョーカー太陽星団の世界」をセルイラスト+背景で表しているイラスト集がメイン+インタビューなどが収められています。(イラスト解説はありますが最低限)
その中の一つのイラスト…LEDミラージュ・ブーメランユニットのテストをしていて兵士と談笑する若い男性騎士とファティマのセルイラストがあるのですけども、「おかっぱ頭の白いコートを着ているファティマ」は、わずかに見えているスカートの特徴的な形と暗赤色の裾からもパルスエット→若い男性もヨーン・バインツェルというのが定番的な「解釈」でした。(ただし永野先生はひとこともそうだとは書いていません)
ここからは私の憶測でしかないのですけども、恐らく2007年発行のDESIGNS2までは彼女のことについて「なんだか違う事が書いてある」ような気がしています。
パルスエットに対する永野先生の扱いの変化はそれ以後に起きていて、きっとDESIGNS5(2016)のときには物語の全てが決まっていたんでしょう。(だからなのかDESIGNS6でも、実際にはそういう出番がなかったのにウモスのデカダン・スーツを着ている彼女の設定画が用意されている。)
そしてこれは本当に蛇足なんですけども、実はこの単行本18巻の感想について、今回「後編から書き始め」「前編はNT4月号を読んでから仕上げている」状態です。
物語本編と関係ないのでここでも敢えて最新の情報に触れちゃいますけども、永野先生はどうもDESIGNS8(出版はまだ先なのかそれとも近いのかよくわからない書き方しているのですけども、予告されていることから推察するに21巻あたりで出す予定?)でこの「JOKER3100」のイラストを再収録、もしくは描き直し収録する可能性もあることについて言及されています。
でもだとすると「そのイラスト」も別の誰かに書き換えられる、もしくはなかったことになる可能性も高いということでしょうか。
「…いやそれは貴方の思い違いだ。」と先生から言われればそれまでの話なんですけども。
7. それ以外について。
なんだか長く、それもあまりポジティブではない事ばかりになってしまいましたけども、ファイブスター物語ほど「読者の持っているもの」(それは先に書いた副読本情報に限ったものばかりではなく、他趣味や、あるいは読み手の人生そのものも含めて)に対して見方が変わる作品もそうないかと思います。
あくまでこの感想文は「私が一読者として思ったことを書いただけ」ですから、もっともっと疑問に答えられる博識な方は大勢いらっしゃるでしょう。そういったものをお求めになる方はネットの海でほかを探していただくのが良いかと思いますけども、ただ私はFSSへの近道は「あなたが直に接した作品からの印象から何かを考える」のが一番だと思っています。
私等は今回一番面白く読んだのは実は巻末の「物語のファティマ誕生まで」「架空兵器のイメージの創作の限界~人間不要の兵器の未来」としている項目だったりします。
これなどはFSSのことを全く知らない方にも…たとえばSNSなどを普段からご覧になる方だったならば刺さる、腑に落ちる内容ではないかと思っています。(だからといってここから布教しても”?”となるかとも思いますが…。)
私自身は永野先生のこういった”まなざし”について大好きだったりします。
その中に何故か19巻から登場するAFバルタン(クバルカン法国イゾルデ・サヤステのファティマ)の漫画からの一コマが含まれています。
私はこれに接して「嗚呼永野先生は雑誌ニュータイプをもっと多くの方に買ってもらいたいんだなぁ」という気分がとても強くなりました。
単行本だけを2年待ってお読みの方には全く見たことのないファティマが突然掲載されているのですから。
ファイブスター物語を連載しているアニメ雑誌ニュータイプは18巻と同時発売の2025年4月号で創刊40周年なのですけども、…ニュータイプ連載分のFSSネタバレ付き感想についてはこのあとで(休憩してから😂)手掛ける予定ですが、どうも作品以外のところで、以前から感じている暗い影のようなものが具象化しつつある気がしています。
その”暗い影”とは何なのか、そちらについては最近ブログ別記事で書いていますので、良かったらそちらもどうぞ。
勿論、こんなのおばさんの戯言であって、まったくの杞憂であってほしいのですけども…。
8. AでもBでもない私。
今回の18巻、私はこんな風に相当何かを抱え込んでいますけども、先にも書いたように「2年ぶりの単行本を手にとって読んで、次巻を楽しみにしている」層にとっては、全く関係のない余計な話のようにも思います。
だから一番最初に「読まなくても良いかと」とさせていただきました。
18巻を読んで心から楽しんで、あるいは感情に揺さぶられ涙を流した方がもしもこれを読んでしまったのならば(一応冒頭警告したとはいえ)申し訳なく思うところもあります。
そしてファイブスター物語を楽しんでいる読者層にはもう一通りのタイプがいらっしゃることも私は重々承知しています。それは
「永野先生がやっていくことには何がなんでもついていく!!」としているタイプの猛者な皆様です。
私はこのブログを書くようになって12年になりますが、その間映画ゴティックメードの再上映を通じて本当に沢山のFSSファン同士と直に、あるいはネットでおしゃべりする機会が増えました。
ファン層は老若男女皆さん色々いらっしゃり、作品の単語を交えながら色々お話をする時間は私にとっても本当に宝物です。
しかしながら、自分はこのタイプでもないんだなぁ…というのをここ数年痛感しています。ファイブスター物語、子供の頃から大好きなんですけどね。
2013年にモーターヘッドからゴティックメードにメカが変更されたときは阿鼻叫喚、大騒ぎとなりましたけども、それは永野先生も(変化が起こったことを)認めていますし、それをさらに物語の中で昇華させようとされています。(16巻のカレンを思い出してみてね。)
なんですけども、ひっそりと物語の何かがいつの間にか変わっている。そんな要素は以前からあったのですけども18巻については特に多い。
それを「永野先生がなにかお考えあってのこと」とするか、無視するか、あるいは「どうして?」と気にするかで色々読者の思うことは変わってくるはずです。
心底熱いファンの方にはよく「マモルマニア」(井上伸一郎さんの同タイトル著書から来ている熱心な永野先生ファンの意)という名称が使われるようですが、とてもではないですけども私はそういった感じではありません。
今回のネタバレ付き感想タイトル「AでもBでもない私。」というのは「ライトファンでもマモルマニアでもない私」といった感じでしょうか。
そして今後も…ブチ切れる時が来ない限りそんな状態が続くのでしょう。
フィクションなんだからそんなの気にしなきゃ良いじゃない?というご意見もあるかも知れませんけども、「雑誌連載や副読本での解説から物語の続きをあれこれと想像し楽しんでいる。そしてそういう風に情報提供されている作品のファンである」私には、こっそり後出しジャンケンみたいな要素は極力少ないほうがありがたいなぁ…。
まぁ私も13年前に特大の「変更」を食らっているんですけどね…。そんな導入を書いたところで後編「死者は生きている?」といきたいと思います。
こちらは18巻そのものの感想というよりも、その謎からあれこれと妄想したなにかとなります。ご了承下さい。
また、ニュータイプ4月号ネタバレ付き感想もなんとか完成したので、良かったらそちらもどうぞ。
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