消えてしまったコーラス6を探る。(前編)

 今回はネタバレといった要素はないのですが、
  • いつも以上にへっぽこな内容であり
  • なのに、書いていることがえらく鋭利になっており
  • このため一部ファイブスター物語ファンの方を大変怒らせそうでもあります。
 それでも私がこれを書きたかったのは「できたらほぼ100%外れていて欲しい」という願いが同時にこもっていることを先にお伝えしたいと思います。(100%は無理なのですが)
 長文でもあります。嫌な予感を最初のあたりで感じた方は是非とも回避していただくことをお願いいたします。

・事の起こりは、SNSでの私の愚痴からでした。

 先日3回目の「DESIGNS 永野護デザイン展」を観に行ったのですけども…そちらは大変楽しかったのですよ。
 当日はありがたいことにブログを読んでくださっている方からお声かけていただいたり、お昼の誘いを頂いたり、その後もいつも励みになっている方や、はじめてお会いすること熱心な永野先生ファンの方と、FSSやデザイン展に継いてのおしゃべりを沢山してから、ウキウキ展覧会に行きましたから。
 そして閉館時間間際まで展示を楽しんだ私達は、8日(金)に発売されるニュータイプ4月号の表紙がクリスティン・Vとダイ・グ・フィルモア5であることをSNSで知り、どよめきに似た感情を共有しあっておりました。
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ニュータイプ 2024年4月号
 しかしながら…ニュータイプの表紙といえば、私は展覧会初回の際、ずっとコーラス6だと思っていた36年前の1988年9月号の表紙セル画の説明がコーラス4になっており、(それもわざわざコーラス3の息子だというキャプション付き)その事に大きなショックも受けておりました。
 どのくらいの衝撃だったかというと、大好きな絵だった筈なのに展覧会ではすっかり目で追うことも出来なくなってしまったくらいです。(その時の記事はこちらに。メインの話題ではなかったので小さい文字になってますけども)
 でも、確か雑誌で掲載されていたときはコーラス6という説明だったはず…と展示スペースに目を背けつつもやっぱり気になってしまい…とはいえ視線を遣るのも悲しくなるのだけども、どうにかこらえて額の宝石の写真のアップだけ写真を撮りました。それがこちらになります。
 紋章の下に「Ⅵ」(6)となっているのがおわかりになるかと思います。
 まさか今月号(2024年4月号)で見つめ合っている二人の表紙絵が、年月を経てみれば人物説明が変わっているなんて事態ををご想像される方はほぼいないと思われます。(私自身もそうです)
 ただ、かつてニュータイプ誌を彩った実際のセル画には6と書いてあるのにも関わらず、どうして展覧会ではコーラス4と説明されているのか?それもわざわざ変化を補強するような解説までついているのか。
 そのことについて(私にしては珍しく)愚痴めいたことをSNSに書いたらちょっとした反響がありました。
※これは一応自分のポリシーとして、あんまりネガティブなことは記さないようにしているためです。感情の赴くままに書いて目立ちたくないですしね。
 そうしたら私よりもはるかにファイブスター物語にお詳しい方からも御返事をいただき…どうも21世紀になったあたりから(この表紙絵についての説明は)ずっとコーラス4だったというお話ではないですか!

 呆然としてしまいました。
 あんなにはっきりと、あの方は誰なのか、証拠になるような宝石まで絵に描かれているのに、20年以上前からキャラクターが置き変わっていたということは、これは数字の誤植でも編集者やキュレーターの誤解からの間違いではなく、「かなり前からの、それも永野先生からの強い意志を感じる変更」であることが伺えるからです。
 ただ、ここまで読まれているFSS読者さんの中には、歴代コーラス王は皆さん同じ顔だという注釈もファイブスター物語では広く知られていることですから、「別に6でも4でも同じようなものじゃないか?」という解釈も成り立つではないか?というお声もあるかもしれません。
 でも、それならば別にコーラス6のままでいいではないですか。
 それを知った私は私は更に大きな衝撃を受け、落胆してしまいました。
 というのも、この表紙が掲載された1988年9月号での漫画の中身も、既に2013年に否定され、「なかったことにされている」からです。

・単行本を買えば載っているのに、「なかったことにされている」唯一のエピソード

 それは3巻130頁から149頁の、4071年のコーラス6とディジナ・マイスナーのエピソードです。
 ただし単行本ではエピソード順番が多少前後しているのでリブート2の245頁~265頁の方が正確かもしれません。(リブート2にしかない頁もあります。ご興味ある方は手にとってみて下さい)
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ファイブスター物語 リブート (2) CLOTHO (ニュータイプ100%コミックス)
 もしもあなたが最近になってFSSを知り、ファイブスター物語3巻を買ってこのエピソードを読んだだけでは、まさかそんな事になっているとは全く気が付かないでしょう。(今私の手元にあるのは2019年発行のものです)
 単行本にまでちゃんとに掲載されておきながら、3巻のコーラス6とディジナ・マイスナーの物語だけが、現在では「FSS内では存在しなかったお話」となっているのです。
 2013年に、ファイブスター物語のメカがモーターヘッド→ゴティックメードに刷新された際に、同時にFSSの基幹をなす年表が一部書き換えられました。
 そちらを見てみると、
  1. 4071年時点でコーラス6とディジナは出会ってもおりません(4076年になっている)
  2. また物語内でジュノーンとクローソーを探していたはずのコーラスは、新年表ではディジナに出会う前に既にGTMジ・エンドレスとクローソーを発見していることになっているからです。(4075年)※13巻以降の年表をご確認下さい。
 ここでその当時のブログ感想文も添付しておきます(走り書きで、中身が今以上に拙いのはお許しください。)
 私は3巻の4071年のエピソードをそれこそ、連載時…好きになったキャラクターが死んでしまった直後(3巻のアトキ戦。1988年4月号で一旦休載になっております。)お先真っ暗状態だった状態で雑誌を手に取った中学生の時から、描かれていたコーラス6の表紙と物語に涙し、フィクションの宝石としてこの物語を生涯忘れない強い思い出とともに大切に扱ってきたつもりです。
 それが2013年の連載再開時になって突然根本から否定されてしまい、訳も分からず、しかし大変悲しかったのです。
 ところが、この当時のFSSファンの皆様はモーターヘッドのデザイン全部がゴティックメードへと変わってしまったことに対する阿鼻叫喚を伴った強烈な衝撃の方ばかりに視線が向いておりました。(勿論私もそちらにもびっくりしましたし、そうなってしまうのも当然のことと思っています。)
 でもあんなに大騒ぎだったファン界隈の中では、物語の大好きな1エピソードがなかったことにされてしまった私の嘆きなんて、本当に小さな小さなものだったのです。

・後半に進む前に書いておきたいこと。

 雑誌ニュータイプ1988年9月号の内容は、表紙のコーラス6も、中身のコーラス6とディジナ・マイスナーの4071年のエピソードも両方否定され、別のものに差し替えられてしまった格好となりました。
 ファイブスター物語では「設定変更」というファンが理解し直し、乗り越えなければならないような要素がメカデザインだけに限らず結構あちこちであるものの、それは主として設定画や雑誌掲載時の説明に対してのものであって、単行本に掲載されている物語までその後否定されているのはこのお話だけだと思います。
 それも(こう書くのは大変申し訳ないけども)しれっと。
 ゴティックメードという大幅な変更にしたって、16巻のカレンさんの思し召しのようにその変化を物語の一つとして昇華させようとしているのに。ここだけは本当にひっそりと。

 しかも、雑誌に掲載された物語だけでなく当時の表紙まで内容を変えてくるとは…。
 どうやら永野先生は2013年よりはるか以前からコーラス6についてのお話を「強いご意思でなかったことにしたかったのではないか?」と、有識者さんからのお話をお聞きしてから私ははっきりと思うようになりました。
 それは何故か?
 そんな私の疑問を、このブログを書き出してから11年経過した私も、ただなくなってしまった…と嘆くばかりなのはやめにして、改めて向き合ってみることにしました。
 …と書いたのですけども、ここまでたどり着くのに随分長くなってしまったので、この先は後編にしたためたいと思います。(下記リンクからどうぞ。)

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