今にして思えば。

  6月になりました。
 もうじき10日がやってくるわけですが…このブログとしては月初めは、次のトップ画を何にしようか悩み、手掛ける感じで(大体3週間位時間がかかります)、今頃から翌月用の作業を始めたりしています。
 7月は珍しく?この方を描いてみようかなぁとふと思い立って練習してみたりもしたのですけども、ところが、描いているとへっぽこは注意散漫なのか、別のことが頭をよぎったりするものです…。(ちょっと!ファンの方に怒られないようにちゃんと練習しなさいよ💦)

 新しい要素はないはずですが、「皇帝陛下を描いていてふと頭をよぎった別のこと」フィルモア帝国が今置かれている特異な事態について、自分へのメモ代わりに書いておきます。

 そういえばファイブスター物語13巻でタコ親父ことバシル・バルバロッサがクリスティン・Vのことを魔女扱いしておりますけども、正直ずっと「どうして?」と思っておりました。
 皇帝ダイ・グの心が彼女に寄せられているとも取れなくもないですが、詩女フンフトとの縁談が進んでいる最中でしたし、そういった心情のやり取りなど、わかりやすいシーンがあったわけではなかったからです。(彼もLDI20や剣聖慧茄のように、貰ったイヤリングで判断しているのかも知れませんけども…)

 そういったことを思いつついきなり話題を変えます。
 ファイブスター物語内で、フィルモア帝国の動きを遡ってみると…「星がなくなるから至急他星に領土が欲しい、」という動きは一体どの辺りの年代から起こっているのか?
 私にはこれがいつ頃に由来しているのか実はよく分かりませんけども、少なくとも漫画連載が始まってから…連載当初の皇帝レーダー8の時は、タコ親父の元老院側とは色々やり合いながらも、一応この事態について、政治共通認識を持って動いていたのだと思います。(その辺り、腹のさぐりあいなんでしょうけども13巻の二人の会話で表現されていたように思います。)
 その代表格が2989年のコーラス=ハグーダ戦のはず。
 このときはハグーダを隠れ蓑にしてジュノーの一強であるコーラス王朝の弱体化→やがては王朝の崩壊か、3つの王家の何処かくらいは狙っていたのかもしれませんね。
 フィルモア帝国としてはハグーダへのバックアップ+元老院側の隠れ蓑戦力であるブーレイ傭兵騎士団だけで動いている分には表沙汰にならず良かったのですが…。

 ところが、このコーラス=ハグーダ戦は思わぬ展開(AKD、トラン連邦の支援と最後のクローソーの力の発動)で当初の思惑が吹っ飛んでしまっただけでなく、コーラスとの国交断絶という外交失政+ラルゴ・ケンタウリを失い、多方面で大いなる失策としてレーダー8自身の立場にも傷が入ります。(ケンタウリ家はレーダー王家系列の家だから)
 しかもこの後更に悪いことに、こちらもレーダー王家の系列であるクリスティン・Vの父、バーバリュース・Vの汚名+娘クリスティンが一般人の同級生を殺してしまうという事態が起きてしまいました。
 クリスティンに、一生を帝国のために生きるように楔を打ちつつ導くのと引き換えになったようにして、レーダー8は引退してしまいます。

 ここで本来ならば元老院としては次の駒となる皇帝…というと聞こえが悪いかも知れませんけども、「領地獲得に向けて共に動いてくれる、あるいは御しやすい」人材を選びたかったはずなのですけども、この時点でもう既にレーダー8の次の皇帝は決まったようなものでした。
 13巻のトライトン王子の言葉などを頼りに、本来のフィルモア帝国の皇帝の選び方を鑑みれば、通常ならばレーダー8在任中から元老院&候補になりそうな王家や名家が色々動いて候補者をああだこうだと選定ところからスタートするのでしょうけども、この時はそれが出来ませんでした。
 というのもタコ親父の息子、皇子ワイプ・ボルガ・レーダーが「(平時ならば)めったに使われないであろう皇太子の権利を行使して」コーラス=ハグーダ戦よりもずっとずっと前に前々皇帝フルダ・ダイ・グ・フィルモア4の孫をレーダー8の次の皇帝とするように詔を出していたからです。(ワイプとしては自分の妻&息子、娘を守りたかったから、ダイ・グの祖母&皇太后剣聖慧茄の保護の傘に入りたかったという事情もあるんですが)
 この詔によってダイ・グ・フィルモア5はまだ幼かったけれども、次のレールは思わぬところで(元老院にとっては勝手に)引かれてしまっていたのでほぼ自動的に次の皇帝は彼となりました。

 ただ、元老院(というかタコ親父)としては、ダイ・グは立派で若くて聡明で美男でしかも剣聖慧茄の孫で強力な騎士として戦陣にも立てて言うことなし、のはずなんですけども、タコ親父にとっては少々扱いに困る皇帝陛下だったと言わざるを得ないところがあったのかも知れません。
 それが「彼は元々星の運命を知っていながら」「(少なくとも今目をつけている)ナカカラ・クルル王国について武力で制圧したくない」という思いも併せ持って成長してきているからです。
 それでタコ親父(元老院側)にとっては回りくどい策を取らざるを得なくなる→ダイ・グに歩調を合わせた布石のひとつが詩女フンフトとの婚姻だったはずなのですけども→これがダイ・グの病によって流れてしまいます。(つまり懐柔策は使えなくなった)
 それでしびれを切らせた元老院が仕掛けたのが…今回の物語、「緋色の雫」となるはずです。

 ところで。
 このフィルモア帝国の秘密「やがて国が星ごとなくなるため、他星に領土が至急必要となっている」という事態を把握している人物が本当に数少ない。帝国のメインストリームにいる人材ですらまともに知らないことは、以前私も別記事で書きました。
 首相と同等の地位とされるミヤザ・ヘクゼイ官房長官ですら元老院会議に出るまで全く知らなかったというこの大きな帝国の秘密は、しかし元老院の面々は比較的多くがその事実を知っています。(皇帝経験者とかメンバーにいますし)、
 この秘密は次の皇帝になってもらう人物に必ず突きつけられる課題であり、また共有することもまた、元老院側にとっては自分たちの思うように動いてもらうためのカードでもある。といったところだったのかも知れませんけども…。
  1. なにせその秘密を知る皇太后が生きていて、彼女の庇護&幼い頃からの指名によって次の皇帝として育てられてきたダイ・グは「フィルモア帝国にとって稀有な後継者」だった。(最初から元老院寄りのことを知っているのだから)
  2. しかもダイ・グはタコ親父の息子ワイプとその息子娘(皇子、皇女)に関する事情もよく知っている。→これまたタコ親父にとっては非常に不味い。
 ということを考えると、タコ親父にとってみれば元老院の抱えるマイナス要素を大いに知るダイ・グはレールが敷かれた時から非常に厄介な「将来の皇帝陛下」だったことと思います。
 そこでタコ親父は、今度は詔の出せる皇女茄里を抑えておいて、彼女が大きくなればまた事態は変わったかとも思いますから、それまでもっとレーダー8には働いてもらいたかったと思うのに、それがクリスティン・Vによって引退がはやまってしまったことも、タコ親父に彼女を魔女呼ばわりさせる原因の一つなのかな…。なんて思ったりもしました。
 ちゃんちゃん。

 まぁ10日発売のニュータイプ7月号の内容にはあんまり関係ない内容ではあると思いますが、新しい物語に触れる前にちょっと振り返りになったかな、と思います。
 今にして思えば超大国なのに秘密の情報多いですよね。星のこととか、皇子皇女のこととか。(カラミティ星のもうひとつの大国、クバルカン法国も多分、この秘密は一部しか共有されてないと思うのですがミューズ新法王どうしているかな…マグダルの話からしてノンナさん勝手に動いているみたいですしね)

 堅牢な政治システムを作り上げたフィルモア1ことトリハロン皇子のときには恐らくなかっただろう緊急の要素。
 本来ならば帝国としてもこのあまりに辛い課題に一枚岩で突き進みたい所なのに、巨大な組織がかえってこういったパワーゲームを生み出してしまい、それが悪夢の果実として何かに向かって突き進んでいるような気がしてなりません。
 あんまり考えたくありませんが…。

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