皇帝陛下の気分になって考えてみる。

 ※ニュータイプ最新号(2022年6月号)の内容を含むため閲覧にはお気をつけください。あ、あとダイ・グ陛下ファンの皆様も、こんな事を書いてしまってお許しいただきたいです…。へっぽこが思うことなので皇帝陛下1/1000の感じ(?)でどうぞ。

 ニュータイプ6月号を読んで幾つか思ったこともあったのですが…直後そのまま帰省に出かけていたため、書かずに数日時間が経ってしまいました😅
 とはいえ多忙によって、一度物語を忘れられて良かったのかもしれません。
 帰宅後ニュータイプや単行本を読み返し、改めてナカカラ攻防戦に漂う「悲劇的予感」をひしひしと感じたのですけども、ただ…
  • ナカカラ防衛にほぼフィルモア全軍が投入される。
  • 後から駆けつける予定のノイエ・シチルス赤グループのブラウマ・イクや入れ違いになってしまったジャンシー・ガラーなども含む強大な帝国軍は、基本的にはほぼ全員皇帝陛下(ダイ・グ・フィルモア5)に忠実な面々ばかりである。
 のですよね。安定感抜群じゃないですか。
 なのにどうしてこう、今後の悲しいドラマを予感させる感じがするのか…?ということを改めて思い返すことにしました。

 私達読者は
  1. フィルモア帝国はボォス星にあるナカカラ・クルル王国を乗っ取り自国としたい。
  2. その理由は現在の母星カラミティ・ゴーダースが将来なくなるから、それまでに他星に領地が欲しい。
ということを大いに知っているのですけども、この事をフィルモア帝国内で知っているキャラクターが非常に少ない。
 1の点については13巻で皇帝と詩女フンフトとの謁見に同席していたハイランダーのクリスティン・Vや、元老院議会にはじめて参加したミヤザ・ヘクゼイ帝国長官ですらその事を知って大いに動揺しているくらいですので、恐らく予め知っている面々は
  • フィルモア帝国皇帝
  • 皇帝経験者(レーダー8や皇太后慧茄など。嫁になる予定だったフンフトもこの枠か)
  • 元老院議会に参加していた人たち(バルバロッサ、ブラウ・フィルモアなど)
くらいで、2についてはもっと範囲が狭いはずです。
 しかも元老院の中でも…更に範囲が狭いところで
  • 皇帝ダイ・グ本人は武力によるナカカラの占領・自国化ではなく、時間をかけてナカカラの民と共に共存し、その中で移住していく選択肢を取りたい。(それはかつてのトリハロン皇子とラーンの伝説がそうさせている。)
という、ナカカラを強大な軍事力で制圧するのとは異なり、更に困難を伴った意向がよりによって最高権力者によって示されており、そんな彼の意見を「若い」としながらも、両方知っている人は今まで皇帝の意向を尊重してきたわけです。
 ただし両方を知っている面々は…。本当に少なそうですね。あのバシル・バルバロッサ大王もまた知っていて表面としてはダイ・グに従ったようですが。

 そして今回の「フィルモア帝国とバッハトマ魔法帝国の密約」が広大な戦場のどこで発揮され、戦況にどう作用されるのか分かりませんけども、この状況を考えたのは元老院に属するメンバーの一部です。
(あくまで一部なのでここでは”元老院ダッシュ”とでもしておきましょうか😂)
 元老院ダッシュはシステム・カリギュラと契約しているので同じ契約をしているバッハトマ側とも秘密裏に対話出来たのだと思います。
 そして枢軸国側のスピーディーで大きな動きにより、ナカカラ・クルル王国にフィルモア全軍を投入しなければならないような状況を作り上げましたけども、ただ、このままでは元老院ダッシュ側の思うようになりません。
 今のままでは軍はあくまでナカカラを守る方に動くからです。

 ただ元老院ダッシュは困ったことに、フィルモア帝国の最後のカーテン・システムについても熟知しています。
  • 帝国の危機になった時に、フィルモア帝国は皇帝を三権と政によって決める半民主政治からその政治システムを変えることが出来る。
  • スピーディに政治が進む、完全専制君主制に移行することが可能である。
  • その専制君主は皇位1位の者がなる。フィルモア帝国には数多くの王家が存在するけども、皇位1位はボルガ・レーダー家の者と定められている。
 特に皇位1位についての事実は恐らく該当するボルガ・レーダー家の者以外で知る人は殆どおらず、あくまで帝国においての「万が一の保険」であった筈なのですが、これをバシル・バルバロッサ大王が知ってしまい、企みによって誕生したのがワイプ・レーダー→更に超有力王家のブラウ・フィルモア王家の一人娘リリとの間に誕生したのが「皇子サイレンと皇女茄里」です。
 ところがこのサイレンが(事情は不明ながら)名前を捨てて帝国を去ってしまったので、現在は皇女茄里が1位のはずです。

 この皇女をカードとして発動させないと恐らく帝国軍は根っからひっくり返らない。とすればまず元老院ダッシュの思惑の前提として「帝国の危機」を作り出す必要があるのです。
 元老院ダッシュはフィルモア帝国軍が多数の枢軸軍と方々で争っている間に隙を作って、「帝国の危機」を作り出す。
(それも追加がやってくるまでの2日の間に。普通に闘っていれば追加が来れば恐らく戦は皇帝のもとで終わっちゃうようなフィルモアの軍事規模だから…。)

 となると…やっぱり思うように身体の動かないダイ・グにGTMでひとり戦わせて、命を奪わせるのでしょうか。(今は戦艦に乗っていますが、ダイ・グ本人としては本陣の他の人間は極力巻き込ませたくないはず)
 いささか手薄な最終防衛ラインとなってしまっているクリスティン・Vのところに大軍が来ちゃったら、下手したらボスやんひとりでもいけちゃいそうだもんなぁ…。
 しかし元老院ダッシュとすれば皇帝の死を起点に、「皇位1位である茄里を祭り上げ、専制君主の緊急システムを作動させ、例えば”APディスターヴ隊が皇帝と共に戦わなかったのは裏切りである”などと言いがかりをつける→枢軸国にはここで密約として戦陣を引いてもらい全軍でナカカラを叩く」事が可能になります。
 
 今までは元老院ダッシュが皇帝の意をも汲んだ懐柔策として、詩女フンフトとの婚礼でメロドラマ的な展開のナカカラ攻略も考えられてきたみたいですが、その線もダイ・グの不治の病でなくなってしまった今、焦ったのかここにきて何ふりかまわない感じでナカカラ制圧に持ってこようとしている風に感じられました。
 帝国の意思として、皇帝ダイ・グが使いたがらなかった「武力で一気にナカカラを抑える」とするならばこの方法なんだろうなぁ…今まで捉えてきた物語の内容を鑑み、皇帝ダイ・グの気分になって考えたのがこういったへっぽこの見解?です。
 当然彼はへっぽこよりももっと多くをより詳しく知っているとは思いますが😅とはいえ元々病気で先が長くない自分が「帝国としての駒の使われ方」として彼は既にこの位の予想は出来てしまっているのではないでしょうか。

 勿論それはダイ・グ本人の希望しているナカカラ・クルル王国との付き合いかたではありません。でもディスターヴ隊を王宮に残したのは、「自分がトップに居る限りは強大なフィルモア軍がナカカラを守る。しかし身内から裏切りが発生している以上もしも自分がやられたら、軍が翻る可能性もあるのでその前に国王を守って逃げよ」といった様なことをラドンウェイ伯爵に話したんじゃないかな…。
「実際はダイ・グ陛下のお力あって、このナカカラはフィルモアの支配から逃れていたのだ」という彼の言葉からそんなことを感じられたので改めてこういったことを書いてみました。

 もちろんダイ・グは一人ぼっちなのではなく、戦場以外にも彼に味方したい多くの強力な人材がいますが(慧茄とかリリとかフンフトとか)なにせアルカナ・ナイトが慌てるほどの展開スピードの速さですから、彼らがどこまで手を打てるかですよね…。
 ここで現在私が攻防戦で気になっている外側の動きについて一応記しておきます。
  • 聖宮ラーンは元老院が神官の多くを買収している中で「完全静観」しているようですが実質敵だらけの中で「全てお見通し」の詩女フンフトがどう裏で動くか。 
  • また、どう考えても怪しい「ブーレイ傭兵騎士団」の正体を知っている外部(AKD、コーラス、あとトラン連邦そろそろ来ないかな…)が戦況に対してどう反応するか。
  • そういえばアーリィ・ブラストの行動は目をつけておかないといけなかった!(魔導大戦の終焉のきっかけを作るらしいから…って一体どこからミラージュ入りするんだろう?)彼女はこの戦に参加して北側にいるんですよね。となるとミラージュとかもこの辺に来るんでしょうか。
  • そしてジーク…なんとか来ないかなぁ。また彼が皇位1位復帰すれば全部がひっくり返るんですが、中々そうもいかない?でも皇位1位を守るサクリファイスの役を担当する強天位の母リリは13巻で「私あなただけのサクリファイスなの」と言ってるんだよね…。(この辺り、ジークが一切剣を取らず、かつ名前を捨てた理由はそろそろ語られるべきだと思っています。ダイ・グが密勅を受けた直後のリリの行動が原因で、結果争いが起きて血が流れたみたいですし…。)
  • 内ゲバ争いに利用されそうな予感のする現在の皇位1位である茄里自身の態度にも期待したいんだけども、とはいえ若いし彼女自身に味方が少ないしなぁ。
  • 態度に期待、という意味ではブーレイ傭兵騎士団の中の人物になっているナイアス・ブリュンヒルデなんですが…。幾らティルバー女王の養子でも、さすがに皇帝陛下の敵にはなりたくないはず。彼女は一体作戦のどこまで知らされているんでしょうか…。そんな彼女は3075年のハスハント解放戦のメンバーになっているため、ここでのドラマ内変化には注目です。
 …へっぽこが長くなってしまいましたけども💨最後に。
 単行本11巻冒頭頁”TEAR is TEAR!!”の中に魔導大戦のいくつかの出来事が予見され、16巻までに大分埋まってあと2つになっています。
 崩れ落ちるクリスティン・Vの予告からもう20年以上経っていますけども、きっと皇帝陛下ファンの方は、この日が来るのを随分前から分かっていても、更に辛そうな展開が来そうなことを不安に思いつつ日々待たなくてはならないことをとても気の毒に思います。
 私は30年以上前にファイブスター物語1巻での予告と、アトキ戦での毎月の連載の中で「好きなひとがいなくなる」今回と似た様な体験を子供の時にしてきているので、物語に漂う悲壮感はあの時のことを思い出させます。
 せめて今後クリスティンが受け取った花の種が、ダイ・グとの大きな赤い花を咲かせることを心から願っております。

追記、というかボヤキ。
 このエントリーを書き、確認するのに13巻~15巻を読み返したりしたのですけども、やっぱりアーリィ・ブラストってジークの妹皇女茄里でない?と改めて思ったり…。
 顔が「お父さんメインのお母さん要素混ぜ」。直毛の髪型と生え際がお父さん、眼力やたら強調したり好きな人の為ならと気合い入りすぎたヘンテコファッションしたり鍛錬に前向きな性格してるのはお母さん似じゃないかという気分が一層したりしました。

 しかし15巻のジークって初登場時に比してやけに幼く描かれている(これは同じ巻のアルル・フォルティシモあたりにもいえる)ので13巻のあとでお話の変更があって、ブラストがジークの妹?という線はなくなったのかな、とも今現在では時々そんな風にも思ったりもしています。(時々、と書いたのはへっぽこ予想を完全に諦めたわけではないからです。多くのことを知っているダイ・グが皇女茄里を、誰だかも全く知らないクリスティン・Vと二人きりにはさせないとも一方で思っているし…)
 シナリオに変更があったのか、それとも15巻の時は直ぐ分かっちゃわないようにカモフラージュ的な表現を施されたのかはただの読者には分かりませんけど…。
 ジークは星団中で何かを探し続けている、という当初設定に則した場面も一向に出てきませんしね。(気になる方はFSSトレーサー2をご確認ください。)

 アルルはその後の色々で、少なくとも初登場時からのお話からは随分変更があったんだろうなぁという気分が強いです。

 でもアルルはその後二十数年時間が経って幼く描かれていたキャラクター描写がもとに戻った気もするのですけども、今度は彼女と同じお腹で生まれたはずの桜子が12~13巻時と較べて全く成長しておらず、(一応成長するはずの)ログナーも同様に全く変化が見られなかったりするので、このあたり混乱しますね。
 というかモナーク・セイクレッド自体が(少なくとも13巻以前と、13巻以後。そして16巻で再度変わったようなので)またしても何か変わった気がしてしまう…とは書いてはいけなかったでしょうか💦(←書いてるけど…。)

コメント

通りすがりのFSSファン さんのコメント…

チークさん

 ”TEAR is TEAR!!”にありましたね、
崩れ落ちるクリスティン・V・・・。

 あのシーンはワンチャン、
ラーンでフンフトと会った時のシーン?と淡い期待も抱いてます。

 予備兵力なしの危機的な状況で、
ダイ・グの側にいるのがミヤザ長官というのが、またなんとも。
介錯役なのかな・・・。

チーク さんの投稿…
通りすがりのFSSファン様

 どうもこんばんは。いつもどうもありがとうございます。
 11巻のあのページ、結構もう埋まっている(そしてシーン的には割りとその通りになっている)のでどういうことになるのか色々気になるのですが、長い髪の後ろ姿で膝をついているのは多分クリスティン・Vですよね…とあのシーンを見てから、ずっと気になってますし、tearだから涙なのかな…といった割りとストレートな印象を持っています。

 これが悲しいシーンに由来するものでないと願って考えるのであれば、例えばダイ・グが思わぬ支援を受け、命からがら助かって聖宮ラーンにでも運ばれてクリスティンと対面できたらこんな場面にもなるかもしれないので、そういった事も期待したいのですが、ただ表面上はラーンは買収などでフィルモア元老院の影響がかなり強くて身動き取れなさそうなのですよね。
(それを乗り越えて手を差し伸べるフンフトさんであって欲しい気もしますが。クリスのことは全力で守ると言ってますしね。)
 ただその場合だとダイ・グの寿命が時間切れでどちらにせよ…となってしまうのかもですけども。
 本当、その辺りは悲しさが色々あるかと思いますけども、ちょっと詩女さんの持っている政治力に期待してしまおうかと、お返事を書きながらそんなことも思ってしまうのでした。
 
(しかしあのページの最大の謎は右下のひとり泣くエスト?に対して誰がいるのか…でしょうか。私はあんな派手なウィンブルのプラスタ・ファティマは中々いないのでバランシェファティマではないかと思うのですが…となるとジーク?いや普通ヨーンさんでしょ、と思われそうですけども、彼にバランシェ・ファティマがつくのであればかなりパターンが限られそうですよね。)

 ミヤザ長官も偉い立場の割になんだかんだで結構可哀想な感じもしちゃったりします。どこまで知っているのか分かりませんけども、元老院の面々にはそれこそ彼は(クリスティンと同様の)使い捨てっぽいですよね…。
 まぁ流石にダイ・グと一緒に戦艦もろともはないと思いたいですが、戦闘に巻き込まれる可能性は大いにあるかと考えられます。

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