約束を反故にしたことで、生まれた物語なのか。

  ニュータイプネタバレ付き感想から立て続けに書くことをお許しください。
 ここから書くことはニュータイプ最新号(2022年3月号)のファイブスター物語連載分の内容を含んでおりますので、まだ未読の方は、どうぞまず雑誌を買って読んでからお越しいただきたいと思います。(せっかくの面白さがスポイルされることになりますから)
 ネタバレ付き感想についてのエントリーは今回2本あります。
 今回のお題はこのネタバレ付き感想の後編「いくら神様の思し召しとはいえ、」にかかります。
 改めて印象を記しますけども、3月号の冒頭ページは私えらく衝撃的だったのですよ。慌てて9巻を持ってきて読み返し、そのあとでやって来た動揺も相当なものでした。

 というのも、ファイブスター物語というのは、お話の中で幾つかの約束がかわされ、それが立場や時間を遥かに超越したところできちんと果たされているじゃないですか。
 壮大な信頼のバトンといいますか、そのあたりのファンタジーを伴ったキャラクターの実直さというか、その内容が例え悲劇的なものであっても、どこかロマンを抱かずにはいられないところがあるからです。
 ここで改めて記しましょうか。(一応時系列で)
  • トリハロンが都行きの間に武器を持つのを止めたこと。
  • トリハロンが武力を用いずに統合皇帝となり、政治的に平和をもたらそうとしたこと。
  • アウクソーがカイエンとだけ共に生きたいが故に、もしもそうならなかった時は死をのぞんだこと。
  • 幼いラキシスがソープのお嫁になりたいこと&その時は黄金の騎士を求めたこと。
  • コーラス3が将来のロボットの搭乗者に渡して欲しいと剣を天照に預けたこと。
  • アトロポスが自分が望んだときに命を断って欲しいとすえぞうに呟いたこと。
 …もっとあったかな。
 これらの約束事は、時には世代をはるかに超え、その顛末がたとえ悲劇を生んだとしても「ちゃんと果たされたもの」としてファイブスター物語の中で活きてきたのです。
 だから単行本9巻のAD世紀末期のナインの頼み「超帝国騎士スバースを預かって、人々が騎士を恐れぬ日が来るまで眠らせてやってほしい。」というのも炎の女皇帝と、魔導能力のあった少女、レディオス・フォーカスライトとの何千年ものスパンがかかった約束であり、私はずっと、天照家はそれを守ったものだと理解していたものですから、今月号の天照家の起こりについての文章は私を相当当惑させたのです。
 あの展開ならば、レディオス・フォーカスライトはナインの意向を一旦は無視してこの最強騎士と共に戦って、ナッカンドラ・スバースは天照家の勃興を支え、デルタベルン星での地盤をまとめ上げたことになってしまいますから。

 しかしその後は最終的に(どうしてそうなったのかは物語が進まないとわからないと思うけども)ナッカンドラ・スバースは2300年代まで封印されたようですけども、どうしてナインの望みを一旦は無視されて、この最強騎士を後の初代女帝である収光帝は酷使したのか。
 GTMモルフォ・ザ・スルタンに乗り込んで戦ったことは果たしてスバース当人の望みだったの?とか色々考えてしまいましたよ…。

 私はこの説明文を読んで、最初永野先生のポカであって欲しいと望んでしまったほどです。
 人によってはこれ大した要件ではないかもしれないけども、「約束は果たされるもの」という物語に絶大な信頼をおいていたFSSの根幹が崩れるかもしれない。と危惧したからです。

 なのですが…
 しかしこのスバースと収光帝の間に子供がいる(かもしれないレベルだけども、どうもそうらしい)という事は、ひょっとするとこうではないのかという変な発想を前回のネタバレ付き感想の中で私にもたらしました。
「ディス・ボスヤスフォートはこのスバースと収光帝の子供の子孫、もしくは子供そのものではないのか?」と。
 これは前回書いたように思いつきのレベルでしかないのですけども(どうしてそう思ったのかは上記リンク後編をお読みください。)そういえばボスやんディスの称号にこだわっていましたし、物語に最初登場した時は、天照のミコトの時代で天照家を襲っています。そこから彼は色々取り付いたりして3000年代の今も生きながらえていたのですから、だとしたらもっと前から生きてても不思議はないような…。

 そんな感じで考えているうちに、今まで明らかになっていることを更に付け足していきます。
  • 天照家は収光帝のグリント・ツヴィンゲンが発現するまでは家が起こり得なかったくらいの立場である。(出自が自治区の自治官の娘ですからね)
  • 天照家の魔導組織”典星舎”と聖宮ラーンは昔から現在まで敵対している事になっている。
  • 詩女リトラを通して、詩女ナカカラはボスやんの正体を見抜いている。それはその後の詩女達にも受け継がれている。
  • 天照が聖宮ラーンの詩女達(マグダル、フンフト)と直接出会うのは彼が生を受けてから1000年以上経ってからである。
  • 天照とマグダルの間に結ばれるのは「永久不可侵条約」である。(3075年)

 …そんなことを付け足しつつボスやんのことと共に考えていると、ひょっとして今回、こんな妄想がうまれてしまったのです。
  1. AD世紀末期にかわされたはずのナインとフォーカスライトとの約束が一度は反故にされたことで→天照家が興りジョーカー太陽星団の大国となるけれども、その間に鬼子ボスやんが誕生してしまう。
  2. (天照家はどこまで子孫にこのことを伝達しているのか知らないけど、でもあの書き方だと収光帝の頃から闇に葬られていた可能性が高そう)
  3. 天照家側は(どういう経緯かは不明ながら)散々使い倒したあとでようやくスバースを眠らせる。
  4. でもナイン側はこの約束を一度は覆されたことを詩女システムを通して代々記憶していて、それで天照側と敵対する形となる。
  5. (映画ゴティックメードのテロリストは惑星連合ということになっているけども、その中心は天照家であったことはDESIGNS4で明らかになっています。なので星団暦初頭にはこの2つの組織は既に根深い対立であったことは伺えます。)
  6. 2020年に天照が誕生したときに、「世界の礎」F.U.ログナー最後の個体が死亡する→最後の瞬間に母天照のミコトはドウター・チップを発動させログナーを再生させる事に成功する。このドウター・チップはあくまでナインと収光帝との約束のときにもらったものだから、思いがけないところで世界の保全が図られたということ??(だからログナーはミコトさんには敬語なんですよね。)
  7. 2000年代に突如天照家の前に現れたボスやんは、天照のミコトに対し、自らに地位を譲るように恐喝してくる→天照の神の力によって成敗されそうになったけども、かろうじてミコトの攻撃で「普通の死に方」に留める。しかしボスやんはその強力な魔力で他の魔導士に乗り移るなどして後々も思念として生き延びる。
  8. スバースは2300年代に目覚め、当初AKDにいたものの当時天照の部下だった典星舎の一番手サローン・バスコと共に新しい人生を歩むことになり、二人してAKDから離脱→子孫は現在の剣聖家系の礎となり、彼自身はファティマ誕生の際のマスター遺伝子としても用いられる。
  9. セントリーの命の水(半分しか使われてないけど)で蘇ったボスやんは天照家も襲うけども、その魔力で聖宮ラーン側とも敵対し、それで超帝国剣聖カイエン、詩女ムグミカ、ハスハ連合国王コレットを失うだけでなく、マグダルの目を失明させ苦役に陥る羽目にさせ、また何十年も魔導大戦でミノグシア大陸を疲弊させる。
  10. 天照はボスやんについて、どこまで知っているのか不明ながら、裏から色々(結果的に)ミノグシア側を援護しているものの表立っては「不干渉」なため、もしもボスやんが過去の天照家側の不祥事による誕生であるならば、彼によるミノグシアへの被害は甚大であり、また約束を守らなかったことへの積年のマイナス感情+魔導大戦で公に味方してくれればもっとはやく終わっただろう戦争のこともあって、マグダルとの個人的条約は「永久不可侵」である…。(友好条約とかじゃなくてね。コーラス・ハグーダ戦のときはAKD,コーラス、トランとの間に友好条約が結ばれたから。)
 なんて展開になったのかしら、と勝手に、かつテキトーなへっぽこの頭の中であれこれあることないことが膨らむのでした…😅
 あ、当てずっぽうもいいところですから、読んだら忘れてくださいね💦
 でも先生が何十年も丁寧に紡いできたはずのファイブスター物語におけるいくつものの「約束の話」。そのひとつを反故にするのであれば、この位の背景があってもいいよなぁと思うのです。
 それは何千年もの「ひとつの約束を反故にしたことで、影響が多々生まれた物語」として新たに誕生したのではないかと、へっぽこは今は考えるようにしています。
(勿論皆さんは色々別にご意見あると思うので、そちらを大切にしてくださいね!)

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