8月29日、上野の森のトークショー。(2015)

 
 えー、行ってきました。大河原邦男先生×永野護先生のトークショー!
 止めときゃいいのにΣ(゚д゚lll)ノートとボールペンを持ってメモを取ってみたものの…すみません、学生時代ノート取るのが下手で落書きばかりしていた事を思い出す始末でした。
 書き留めたとはいえ打率…幾つだ?漏れもかなりあるでしょうし…走り書きのため仔細はかなり違っているように思いますがそれでもこんなお話だったという気分だけどうぞ。 (尚、読み易さの為順序も多少前後しております。)
 後はウェブニュータイプさんのレポートを待って下さい(;´Д`A
 (あとはこちらのレポートをどうぞ)



○大河原先生
●永野先生のお話されていた事です…
 (?なのもあり不明瞭ですが、お二人とも同意されていた部分は多かったと思います。)
 ※(8月31日追記。)PCだと記号が不明瞭に表示されどちらがどなただかわかりませんでしたので修正させていただきました。読みにくくて大変申し訳ありませんでした・・・
あと、それほど大きな写真ではありませんが、その時の様子などはこちらからもどうぞ。




馴れ初め?やガンダムやエルガイム、富野由悠季さんについて

●バイファムでペーペーでございました…神田さんと芦田さん(銀河漂流バイファムの監督の神田武幸さんとキャラクターデザインの芦田豊男さん)の間に自分の机が何故かあって、大量の大河原さんの仕事が回ってくるのを見ていた。
○自宅で仕事をしていたのであまり接点がなかった。エルガイムでライバル心を持ちました。
○●(二人共)ガンダムを一番知らないデザイナーになっているよね。
●それまでのロボットは頭だけ違っていれば良かった。
○富野由悠季監督とはザンボット3→ダイターン3→ガンダムと来て最初の2作はスポンサー受けのものを、ガンダムはそれとは違ったリアル路線でという依頼をされた。
○MSガンダムは宇宙服から入っていき、安彦良和さんの作風が入ってる。
ザクはモノアイは富野由悠季監督の提案であとはドイツ軍のイメージで自由にやらせてもらった。
●ガンダムは11話?まで敵がザクしか出てこなかったのが凄い。キャラクターとして完成していた。現代もガンダム、ザクありきである。
○ところが?次第に富野由悠季監督からMSのラフ画が来るようになる。→それに合わせてデザインすると2倍来るようになる→富野監督の言う通りに描く方がこちらも楽→最後までMSのラフが届き続けた。
●自分の時(エルガイム)はアイデアがガンダムで尽きてしまった。と言われて一切提案は来なかった。
●エルガイムはほとんど自分でやってるけど収入は初任給だけ。雑誌へのイラスト関連がおこずかいだった。若いうちは何でもやれ、と言われて「はい、わかりました」だった。
○ガンダムは買い取り制だったよ( ̄◇ ̄;)
●その中で唯一反抗出来たのは富野監督だけ。
○散々富野さんには苛められた。馬鹿だ、鈍感だと良く言われた。
○●でもムキになって怒るとかわいい。


メカデザイナーという職業について

?何処かで見た事があるものを1つ入れるとキャラクターが立つ。
○おもちゃ(超合金やプラモデル)ありきなのでキャラクター造形が一番大事。形が魅力的でないと作画するアニメーター側にとっても魅力的でない。現在はCGやメカ、小道具など細かい分業チーム制であるため情熱は減っていってる
●沢山の人が関われば関わる程個性が減っていく。
●メカニックというキャラクターである。サンダーバードの中でサンダーバード2号が最も子供に人気があったのはキャラクターとして立っているからだ。膨大なガンダムのデザインも、キャラクターとして立っている。
●ロボットは最も強力な存在である。あらゆる世界がロボットに引っ張られている。ロボットに合わせて動くから。
○実際のプロダクトや現実路線をそのままアニメにしても面白くない。子供の脳裏に種を蒔くような夢のある姿を。お茶の間でテレビを観ていたお子さんに何かヒントになるものを。
神戸の展覧会は40代辺りのお客さんが多かった。自分はロボットの二足歩行は無理だと思っていたがロボットアニメを観て育った世代により現実のものになってきている。また大震災があり更に必要に迫られたりする事で開発が進んでいく。
メカデザイナーはものを作る立場ではないが、「こういう物を作りたくなる」ようなものを作ることである。
●車のデザイナーなどが、子供時代に架空のメカを観て大人になった時に影響が出てきている。しかし、ぼくと大河原さんは朝鮮人参である。(注 メカデザイナーとしてお二人の存在が強すぎる為、次世代が育ちにくいことを指している?)
○しかし種を蒔かないと収穫できない。いつまでたってもガンダムやウルトラマンではない。昔のコンテンツばかり。夜のテレビ番組、バラエティーをアニメに変えないと!
●世界では日本のゲーム(ファイナルファンタジーが上がってました)に触れてきた2〜30代の若者がまた影響を受けている。その世代が外から発信すると日本もまた影響を受けるのではないか。
?メカニックデザイナーは絵描きではない。物を形作る事に特化した人間である。
●近年絵はよりリアルになってきているけども、デザイナーは「ないところから形を作っていく。」それを何年も何十年もやってきている。絵の技術は付随的な物である。まずはデザインありき。
(メカニックデザイナーになる為に必要な素養は?の問いに対し)
○何でもかんでも見る。の連続である。好奇心が強く飛びつく要素は必要。しかし一つの分野にこだわりマニアになってしまうのはかえってデザインを阻害する。飛び抜けた知識ではなく、出来ることなら浅く広く。
●ロボットに愛情をかけてはいけない。絶えず客観的に。(しかし若い人が突っ走るのはわかる、的なことを仰っていたような…)
●模型の良いところは組み上がるまでの過程の形態やパーツ単体のデザインの良さ、そんな個別の形が更に組み合わさって完成する。物の形を認識できるのは模型だけ。完成品では出来ない。
○絵は自分の周りにもっと素晴らしい人が沢山いた。(天野喜孝さん、安彦良和さんを挙げてました。)彼らを超えるような絵は諦めたが、彼らには物作りは出来ないだろう。(ここで溶接やらCADやら専門的な話が色々出たのですが、私にはサッパリわかりませんでした…( ̄◇ ̄;)物を作ることに関しては貪欲に勉強している。メカデザインをする人はある程度は物作りに精通していないといけない。おもちゃにしなければならないので制約があるからだ。
(大河原先生、安彦良和さんの奥様に鍋を作って欲しいと依頼されたことがあるという話もされ笑いも誘っていました。)
(メカニックデザインのゴールは何処か、という最後の質問に対して)
○その動機によるだろう。監督になりたい方にとってはそこがゴールだけども、自分は偶然からメカニックデザイナーとして入ってきているので、メカニックデザインをオファーがある限り続けたい。
●棺桶に入ってもメカニックデザインの事を考えているのではないか。
(何故かここで)ゴティックメードについては某社(後でボークスと仰ってました)からカイゼリンのとんでもない物が完成している。レジンでの姿も素晴らしいが完成品では「お前らざまぁみろ!」となる物をお見せできるだろう(と書いてある気がする…すみませんここ何故か判読できず( ̄◇ ̄;)

 そんなところでしょうか…
 大河原先生はとにかくダンディな紳士、一方永野先生は黒い帽子のやんちゃなロッカー?でライブハウスで演奏されそうな格好をされて登場されました(会場は、何故か永野先生の席が真ん中でした。)
 おしゃれは対照的な気もしましたが、設計は違えどメカニックデザイナーとしての思想はお二人共通したところが多いように感じられました。一から格好よさ含む何かを作る職業、知識の豊富さ、観察眼と辛抱強さ。
 会は笑いが時々起こる楽しい楽しい時間でした。私は様子をお伝えするのが精一杯ですが、ロボットアニメにも何らかの新しい種が蒔かれ、色とりどりの花が咲くのを心から願っております。(と書くとゴティックメードみたいですが、そういった表現を今回使っていたのは大河原先生でしたね。)

 あ、今回も勇気を出して私にお声をかけてくださった皆様、そしてはじめましての3名の方(しかもおひとりはこのブログから応募されて、当選しはるばる〜来たぜ〜という方で…嬉しかったです!)本当にどうもありがとうございました。
 こんな機会(あるいは永野先生の展覧会とか…( ̄◇ ̄;)またないかしら?贅沢すぎるかも知れませんが今回素晴らしい実りあるアイデアを提供して下さった(展覧会監修・トークショーの司会者でもありました)五十嵐浩司さんには大感謝です。
 メディアの皆様是非是非お待ちしておりますm(__)m



 

コメント

Web-tonbori堂 さんの投稿…
お疲れ様でした。
レポートありがとうございます。
ガワラさんのモノづくりに精通ってのはマクロスってアニメでレゴで可動モデルを作るぬえの河森さんや、いろんなことに精通しないとっていうのは同じくぬえの宮武さんに通じてくる話ですねー。何時かは他のメカデザイナーさんとの対談もやってほしいですねえ。たしかガワラさんは宮武さんとかとトークイベントしたみたいだったけど。あとクリスと安彦さんも面白いかもしれない。冨野御大話とか(笑
Web-tonbori堂 さんの投稿…
ちょっと下書きでおくっちゃったので先のは削除しちゃったのですいませんです(^^;
カン さんのコメント…
レポートありがとうございます!
本当に有益な時間だったに違いありませんね。

しかし朝鮮人蔘か…チークさんもご存知の上で書かれたと思いますが、朝鮮人蔘は栽培する土壌の力を徹底的に枯渇させ、何も育たない荒地にしてしまういます。朝鮮人参は古くなればなるほど薬効は強くなりますが、3-4年で耕作地を荒れ果ててしまい、そのまま栽培しつづけると自分も朽ち果ててしまうというとんでもない性質を持っているんです。(栽培人蔘は6年根を最上品とするのもそれが理由) 永野先生の発言は多分、お二人の存在感が大きすぎ、メカデザイン界への影響も大きかったため新人育成にはむしろ妨げになってしまった…という意味なんでしょうね。実際、あの二人の時代以来あれほどの存在感とオリジナリティーを持つメカデザイナーは殆どいなかったも同然でしたから。(次の世代に当たる方にカトキハジメさんがいるにはいますが、オリジナルデザインよりリファインの方が印象が強いので)

…しかし永野先生って、朝鮮人蔘のあのジレンマ的な性質をご存知だったのか!ちょっと驚きました。^^

(すみません; 本名のGoogleアカウントで投稿してしまい、一度削除して投稿し直します;;;)
Toshi さんのコメント…
レポートありがとうございました!
私自身、モノづくりを志していた身として人生に多大な影響を現在進行形で与え続けていただいているお二人の対談でしたので、
会場の雰囲気や、お話の中身に触れることができて嬉しかったです。
FSS/GTMに関しては、今後の連載再開後に「怒濤の新GTMデザイン群公開!」となって、造形クラスターの一員として悶絶する日々が訪れることを密かに楽しみにしております!(笑)
※来年の2月に福岡で開催されるFMS3という模型の展示会にむけて、無謀にも黒騎士ダッカスの製作を始めようと準備していたりしますので、「早く背面のデザインが公開されないかなぁ・・・ でもまたデザイン変わりそうな展開だよなぁ・・・」などと考える今日この頃でした。
アンギラズ大佐 さんの投稿…
大変興味深いお話の数々、ありがとうございます!
神戸の大河原展、大阪のガンダム展をみた私の印象では永野さんはマルチに才能を発揮される方、大河原先生はあくまで請け負いとしてのお仕事をしてるイメージでしたが、やはり根底は同じものがあるのですね。
これも私の勝手なイメージですが、メカデザインて一番当たりがキツいイメージです。
ガンダムでも安彦さんのキャラクターなどは2、3回の変更で決定稿(それも基本的な変更はあまりなし)だったのに比べて大河原先生のメカデザインは何度も何度も変更されてて、しかも変更がある毎にガラッと変わってしまってるので大河原先生の苦悩が伝わって来るようでした。
そんな大河原先生の唯一のやりたいようにやった作品が“ザク”だと思います。ザクのその後のロボットアニメに与えた影響は言わずもがなですが、それに倣ってモノアイの改良版MSがあふれる中で敢えて非モノアイのMSを作った永野さんもまた凄い。
確かにお二方に匹敵するインパクトのあるロボットデザインなんて最近はあまりみないですね。
海外のシド・ミード氏かエヴァの山下いくと氏ぐらいでしょうか。
仰られるように、いまのシステム下ではお二方のような強烈な個性はでにくいのかもしれませんね。
チーク さんの投稿…
moto-tonboriさま
大変遅くなりすみませんでした。今ブログを読むとそうだ、「ふたりとも通ったというおもちゃ会社へのプレゼンテーション」とか抜けているなぁ。。。とか思うところが有りました。メモでは確信が持てなかったのでここでちょっとお知らせを。

新しいロボットがアニメになる前、必ずサンライズの社長さんと二人(この方のお名前メモしたのですが自信がない)で出かけて会社のお偉いさん(こういう時はバンダイとか指すのかしら、永野先生もどなたかのお名前をあげていましたが)の前でプレゼンをしたそうなのです。
大河原先生はこの時立体を作って持っていったそうです。
永野先生の時は「富野監督がOKだからここに来ているという暗黙の了解だからか」一発OKだったそうです。
そのくらいその頃では富野監督の影響力は大きかったそうです。
なんだか緊張する瞬間のようでこの時のお二人はまた懐かしくも嬉しそうにされておりました^^;

大河原先生は監督を目指した方として出渕裕さんともう一人のお名前はあげていたような気がするのですが、永野先生は(大河原先生と富野監督とか、記事に上げた以外では)永井豪さんと手塚治虫さんと、藤子不二雄さんのお名前しか上がっていなかったように思います。
moto-tonboriさんはご存知かと思いますが私はロボット・アニメそのものにはあまり詳しくなくて聞き取れなかった同業者のお名前の方がこんな風に数名あったため、レポートを書く人によっては印象がもっと違ったものになったかもしれません。
でも永野先生は朝鮮人参の件もあり、大河原先生と自分以外でその分野でのお名前を出さなかったのも何となく分かるような気もしました。

あ、富野由悠季監督ですが、大河原邦男展の内覧会でもほとんどの関係者がいらっしゃり富野監督もお見えになったそうですが
「自分が一番仕事したのはタツノコプロの笹川ひろしさんとか高橋良輔監督であり、富野監督とは5本(と言ってましたが間違っているかも)しか仕事してないのにね」と富野監督の話が多く出てくることに苦笑しておりました^^;勿論富野由悠季監督は永野先生との共通点でもあるのですがお二人にとっても強烈な人物なのは間違いなさそうでした^^;

チーク さんの投稿…
カンさま
すみませんまたしても御返事が遅れております・・・。私もこの週末、トークショー後はくたくたになってしまったようです^^;
私はカンさんの仰った理由と同じ印象でで永野先生が朝鮮人参と、あのように仰ったのだと理解しております。
大河原邦男展でも、(今回は永野先生の展示はありませんでしたが)他の方がサブに回られて~という注釈がついて同じ作品に関わられた別のデザインの展示も少しあったのですがすみません、その皆様についてトークショーでお名前は出てこなかったように思います。
例えばカンさんのお書きになったカトキハジメさんもトークショーではお話には上がらなかったと思います。(大河原さんは次の日も別の方ゲストで座談会があったはずなので、そこでは登場しているかもしれませんが)

ロボットアニメの栄光と衰退(と書くのも申し訳ないのですが、大河原さんがいつまでたってもガンダムでは駄目、と言っていたのは印象的でした。)で育った人材もとても限られたのかもしれませんね。
大河原邦男展に行くと、21世紀初頭に企画予定されていたアニメ「鉄の惑星ランディーフォース」(高橋良輔監督、塩山紀生キャラクターデザイン)のデザイン群を観ることが出来るのですが、(しかしこのアニメは911の影響で製作中止になっています)
「このアニメが放映されていたらきっとロボットアニメのひとつの財産になって風向きもまた変わっていたろうに」という思いを、トークショーの前から感じ取っていました。
というのもあんまり見たことのないタイプのメカデザインだったからです。
大河原先生も永野先生も、昔も今も今後も今のものとは違うデザイン、造形に拘っていらっしゃる生涯を送ることになりそうですが、ひょっとすると専門職としてのメカニックデザイナーという立場は今後現れにくい(ロボット作品が出てもチーム制になったり)のかもしれませんね。
チーク さんの投稿…
Toshiさま
大変遅くなり申し訳ありませんでした。本当に雰囲気だけ、ですが多少何かが伝わっていれば幸いです。
ただダッカスのバックスタイルは今年中に・・・難しいかなぁ(D5がただでさえこの冬に延びていますし、連載再開はこれと同時みたいですから)元々存在するものに無理に想像の翼をつけるのはへっぽこ予想同様かなり厳しい印象があります。(え、一緒にするな?^^;)
かといってカイゼリンと一緒というわけには行きませんしね…

連載再開後はバーガハリ大挙登場だけでなく、Mk2、グリッドやハイファ・ブリンガー、ハイレオンやワイマール、ひょっとしてマグナパレスやダス・カイザースやプリンシパルとかも出てくるんでしょうか。妙ちきりんな争い^^;がとても楽しみです。
でも展示会であの漆黒の姿に挑まれるとは気合が入りますね!そしてToshiさんは福岡の方でしたのね!なんだかんだ九州には未だに上陸できておりませんので、映画ゴティックメードの機会にでも今度こそ狙いたいです^^;
チーク さんの投稿…
澤木正克さま
大変遅くなり失礼いたしました・・・
なのにいきなり変なことを書いて恐縮ですが、エヴァンゲリオンはメカだったのですか!全く知りませんでした・・・(てっきり生体系の兵器かと思ってました。)本当、アニメ事情に疎くてすみません。
メカデザインの人はアニメーターに風当たりがきついみたいな事はおふたりともトークショーで仰っていました^^;画面で動かすのは彼らですしね。
数枚の設定画で絵を動かすわけですから、例えば●●風、とか何らかのイメージが見えてこないと絵だけでは余計にわかりづらいものがあるかも知れないのですが・・・お二人のデザインはそれだけ表現に想像力を必要とする形だったのだと思います。
よく劇場版FSSのMHの効果音がMSと全く一緒じゃないか!というお話を聞くのですが、この辺り、漫画ではよく分からなかったところを永野先生が音にしてくださったのがゴティックメードなのかも知れませんね。

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