こちらのエントリーを書くにあたって最初にお断りしておきます。
ファイブスター物語の最新のエピソードについて書いていますから「現在連載中」の分をお読みでない方は避けていただきたいです。
しかしそれ以外にも、
- 今回のエピソード「緋色の雫」を読んで泣いた方
- 泣いてなくても感動した方
- これを読んでいるあなたご自身が「マモルマニア」だと自負できる方
こちらに該当する方はもれなくお読みにならない方がきっと良いはず。
ひどい!と憤慨されるような事が書いてあると思われるからです。すみませんけどもよろしくお願いいたします。
私が思ったことをつらつら綴っているだけ、こんな愚痴には影響力がない事も重々わかっております。だからネットの片隅に記しておくだけの話です。
・3月19日、ゴティックメード再上映にあまり集中できなかったわけ
3月19日、新潟国際アニメーション映画祭でゴティックメードの再上映と、永野先生+川村万梨阿さん、映画祭フェスティバル・ディレクターであり、映画GTMの製作総指揮、現KADOKAWA上級顧問 エグゼクティブ・フェローの井上伸一郎さんとのトークイベントが併せて行われました。
そのときのレポートについては下記リンクからどうぞ。
私はこのとき観たゴティックメードが…52回めになるのかな?(多分)しかし今だって、毎回映画を観るのをとても心待ちにしています。
70分の間ずっと風が吹いている様な心地よい世界とドキドキする物語に没頭できる。それを楽しみに会場に足を運んでいるのですけども…何故か今回は一心不乱に作品を楽しむことが出来ませんでした。
それは画質や音響といった上映環境のせいではありません。(今回映画館でない、多目的ホールであるにも関わらず良かったですから。揺れだけは気になりましたけども。)
私が大好きな映画作品に集中できなかったのは、トークイベントにその理由がありました。
トークイベントは映画上映前に行われたのですけども(私はほぼメモ取りに追われていました)この中で井上伸一郎さんからのご質問として
「最近の連載…泣きながら読んでいるんですが展開に露のウクライナ侵攻についての影響があるのか?」という感じの投げかけがありました。
それについての永野先生のお答えは上記リンクからへっぽこレポートをお読みいただくか、Twitterでもっと詳細に述べられている方のご感想をお読みになれば良いのではないかと思いますけども、このときの私は脳が盛大にバグり
「えええええええ、最近の連載泣きながら読んでいるの????」とメモをする手すら止まりそうになってしまいました。
いえ、人の感想にケチをつけるつもりは全くありません。百人いれば百通りのお考えがあるように、勿論井上さんと同じように思われ、頷きながら聞いた方も沢山いらっしゃるのかもしれません。それは重々承知の上です。
でも、井上さんKADOKAWAさんのお偉いさんじゃないの?なにより昔から永野先生とそれこそ二人三脚のようにFSSを引っ張ってこられた方じゃないの?あれで泣くの??と私はすっかり困惑してしまい、映画の間も集中できず、そのことについて心がオロオロ彷徨ってしまいました。
というのも…最近の連載という部分に私のバグにあたる原因があったからです。
・「緋色の雫」を読み終えて、パッと思ったのがあの作品だった。
ファイブスター物語アクト5-1「緋色の雫」は、2022年ニュータイプ6月号~2023年4月号まで、11ヶ月分の最新連載分の物語です。
更に冒頭部分(アクト4-4「カーマントーの灯火」最後に数ページ差し込まれた)はNT4月号と同時発売のFSS17巻にしっかり盛り込まれ、普段雑誌を買わず単行本だけお読みの方でも、17巻と一緒にニュータイプを買えば結末がわかるような仕組みで提供されました。(加えて、17巻表紙に描かれた全く謎の少女についてもこの4月号で誰なのかが分かるようになっていました。)
あの17巻ラストからの、フィルモア皇帝を取り巻く不穏な状況を目の当たりにすれば、「ダイ・グ・フィルモア5とクリスティン・Vがどうなったか気になる!」と思うFSS読者が少なくないだろうというのは容易に想像ができます。
次の18巻出版は永野先生のお言葉から、この「緋色の雫」に次のエピソード(ヨーン・バインツェル主役のトラフィックス最終章?)が入ってくるので、単行本となって本屋さんに並ぶのはもう少し先…具体的には分からないけども連載が順調でも来年2024年にはなっちゃうのではないかと思います。
私は連載分を追いかけて、読んで思った事をこうしてブログにも書いているため、「単行本派」とされている方のお気持ちについてはこういう感じなのかな、と想像するしかありませんけども、単行本とご一緒に久しぶりのNT両方買われた方はこの「緋色の雫」、物語ラストについて「ああ…(涙を流しつつ)相変わらずわけが分からない!!」と思われたのかなぁ、と考えています。
ぶっ飛んでいる展開には違いないからです。
しかし私と同様に、この連載分をしっかり追いかけていたFSS読者さんが、今現在この物語をどう思われているのかは私にはさっぱり分からないでおります。
殆どの方が、井上さんのように涙を流されたのかしら…。でも想像がつかないのです。
というのも、私は読み終わった直後に「打ち切り漫画に似ているな」と思ったから。
しかも、私は普段(FSS以外の)漫画はあまり読まないものですから、打ち切り作品に遭遇するような経験が殆どなく…私の思い描く打ち切り漫画として頭に浮かんだのが…。
「ソードマスターヤマト」だったからです💦
アイヤー、石とか岩とか投げつけられそうで大変怖怖書いております…。
また、ファイブスター物語のブログを書くのに、他の作品と比較したりしないように普段から気をつけているのにも関わらず今回こういうことをしちゃってとても申し訳ない(だって比較対象を作ってしまうと、それを知らない人には訳の分からない内容になる)のですけども、今回はもう仕方がないので思ったまま書きます。
まず、知らない方に先に説明しなければならないのですけども「ソードマスターヤマト」とは増田こうすけ著「ギャグマンガ日和」の5巻に出てくる短編「夢野カケラ先生」が描いた劇中作品です。(2004年なんですね、古いな…。)
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そのあまりの不条理さと怒涛の展開に、もう何回もネットミームになっており、内容をご存じの方、名前だけ聞いたことがある方も多いかと思います。(アニメ化もされました。5分位の内容で33円で観られます…)
もしも気になる方がいたら是非ソードマスターヤマトが描かれた2つのお話、「誤植編」「完結編」併せて読んでください。
それでどうして、FSSを読んでいるのにこの作品が頭に浮かんできちゃったのか、なんですけども…(真面目に書いてます本当)「完結編」に登場する打ち切り漫画本編(大作RPGっぽい中途半端な物語を3頁で無理やり終わらせるという異形をやってのける)の前に出てくる内容と関係があるのだと思います。
作者夢野カケラ先生が漫画打ち切りを宣告されて、ソードマスターヤマトにはこういう伏線があるのにどうやって終わらせるんですか!!とあれやこれやを編集者にふっかけるシーンと、ダブってしまったような気がするのです。
ところで普通の漫画はA→Bという展開に対して、ソードマスターヤマトのようにAの時点であれこれ匂わせたりするじゃないですか。
読者は今ある物語の先を知りたいと思いつつ、どうなるのかをそれまでに描かれた伏線や匂わせをもとに脳内で探ったりするわけです。
ソードマスターヤマトでの作者と編集者のやり取りの中に、作者は連載中に張り巡らせたらしい伏線についてペラペラ話すわけですけども、FSSの場合この伏線が物語本編だけでなく、連載表紙の解説、単行本や副読本(DESIGNS)の設定画と永野先生からの説明からも多方面で示され、読者はのめり込み度に比例して本を買い、読んで色々想像するわけです。
格好としてはA→A'(資料集など漫画本編以外の要素)→Bという感じになるでしょうか。
ところが今回の「緋色の雫」、A'として副読本などで示されていた要素が実際の物語Bで尽く覆されている。パッと思いつくだけで書いても
- GTMダス・ゴーストはカイゼリンと同じエンジンである。(D4ではカイゼリンの超帝国ペダンエンジンは現存するAD世紀最後のエンジンと書いてある)
- GTMプリンシパル=GTMダス・カイザースとなった。(ダス・カイザースはD4ではメリンダ・クルップ博士の新設計で建造中だったはず)
- カイゼリン・スーツの特殊な機能(フィルモアとミノグシア連合のAFに対し優位に立ちコントロールできる)は全く使われず、というかカイゼリンでないのにカイゼリン・スーツを何故AFチャンダナが着ているのかさっぱり説明無し。(いくらシリーズものとはいえ、カイゼリンははるか昔に他国にわたっている→ファティマが誕生したのはその後の話だから、そのあとフィルモア帝国と聖宮ラーンとの間で何らか連携してスーツが生みだされたような話が必要なはず。)
- ダグラス・カイエンの封印云々のお話(D4では彼の見た目のことがわざわざ言及されているのに今回全く変わっている)
これだけの要素をこそっと変えてきて、戸惑い多数の中に、魔導大戦以後の新規キーワードみたいなものばかりがバーーっと並べられ、戦場でのドラマのはずなのにバランシェ系ファティマ達フル登場の中で掲示されているわけです。
お話としてはとりあえずクリスティン・Vの危機(なんだろうけども、あんまり彼女の戦場での奮闘ぶりが描かれていないので良くわからない。ガット・ブロウの寿命とかどうなっているの??)は回避しつつ皇帝陛下と彼のファティマ・チャンダナの退場、そして次の皇帝へ…みたいなラストに、数ページ付け足された新たなでっかい謎!みたいな展開となりました。(といっても次期皇帝となるはずのノルガン・ジークボゥは殆ど出てこず。この後で出てくるんでしょうけど)
うーん、切迫していた戦場でのお話であるはずなのにこの畳み掛け。永野先生魔導大戦描くの飽きてしまわれたのかな?と思ってしまうのですよ。
この前のトークショーで先生が話されていた、2002年あたりに(と思われます。ガスト・テンプルがデザインされたのがこの年らしいのですが実際にはそのちょっと前なのかな?)モーターヘッドのデザインについて葛藤があり、次のロボットデザインへ向けて変えられたように物語のデザインについても。
2013年のゴティックメード改変以後に出版されたDESIGNS4(2014)からの設定をあれこれ変えて、更にポスト魔導大戦のようなことばかりを次の謎としてナカカラ攻防戦という戦場の中であえて並べている。
元婚約者の詩女フンフトも、結婚の話がかなり曖昧な形で流れてしまっているから、渾身の色仕掛けでせまったのに、花婿になるはずのダイ・グ本人とはその後殆ど絡まないまま突然「緋色の雫」ラストに大トリのように登場してきても、出てくる言葉にあまり説得力を感じない。
それにダイ・グの病もちょっと物語展開に都合良すぎないか?(騎士でないワイプさんのときは数年しか命が保たなかったはず。このときの彼のデータが延命にどう役立ったとか、病がどう身体に影響しているのかダイ・グ自身の描写にもうちょっと事前にドラマを入れておけばそんなこと感じなかったと思うんですけども…)
そしてチャンダナは何?理由が良くわからないまま髪をほどき(ヘアスタイル変えちゃうのは星団法違反では…?)華やかなスーツを着て、ボーッと生きてたはずなのにどういうわけかレッドゾーンに入ったということでペラペラ乱暴に喋り、しかもどうGTMを制御したら命を削られてそうなっちゃうの??(彼女のコマが多くなく、かつ途中他のファティマが山ほど登場して繋いでいるので14巻のクロス・ジャマーホストをしていたAFのほうが大変そうに見えてしまう)
なんだか、とにかく「緋色の雫」には、FSS特有のお楽しみである伏線として示されていた要素がガンガン変更された状態で物語が進んでしまい、更にナカカラ攻防戦で追い込まれたクリスティンの活躍→疲弊からの共闘という物語以上に手の込んだ形で新しい謎や登場人物が矢継ぎ早に示され、しかもファティマが沢山出てきたから見た目は華やかなれども魔導大戦以後のことばかりが語られて、あとはキャラクターからの長めの説明セリフで、謎をいくつか残し、かつ曖昧なままで終わっちゃったような感じがしてしまったのです。
だから私にはソードマスターヤマトよろしく「打ち切り漫画」っぽく見えてしまったのかもしれません。説明に圧縮感がありましたから💦
(最後のフンフトもそうだし、ダイ・グがクリスに特別な思いを抱いていたときのセリフもそうですね。もっとさり気なく彼の思いを物語に忍ばせられたと思うのですが…)
いえ私は別に流血の惨事が観たいわけでは決してないのです…私個人も皇帝ダイ・グがGTMに騎乗するあたりまでは緊迫した感じを楽しく(矛盾してますが)読んでいたんですけどね…。
このお話が単行本18巻にまとめられたら、私も違和感なく読めるのかなぁ。
そして恐らく設定云々のことは単行本だけお読みの方はあまりご存知ないでしょうから「わぁ」っと驚いて、心がキラキラしたり涙を流されたりするのでしょうか。そうだったら全て杞憂にもなるだろうからそれでも良いのですが。
そしてどうしてダス・ゴーストがカイゼリンの代わりのようにして出てきたのかは…多分なんですが、16巻で皇女茄里さんがトリハロン皇子のような格好をした設定画で登場しているので、トリハロンとダブらせるような彼女の乗機として、似た設定のGTMにしたかったんじゃないのかなと現在疑っております。ダス・カイザースは確かジークのGTMのはずですし。(ただそうすると13巻あたりの内容が矛盾するんですが…プリンシパルとダス・カイザースは別な感じで物語に書かれてますし。)
でもカイゼリンは炎の女皇帝時代の現存する最後のエンジン、だったはずなのになぁ…。この機体にあった特別感が今回薄まっちゃったよなぁ。と映画の画面を観ながら思っちゃったのは確かです。
・怒られ指差されちゃいそうだけど書いちゃう。
そういえば永野先生魔導大戦のシナリオは9巻あたりで出来て完成しているようなことをトークイベントで仰っていましたけども、これ、ドラえもんと同じ理屈(のび太としずかちゃんが結婚する未来になっても過程のちがいだけで全体は変わらない)で「マグダルとデプレとマキシとでボスヤスフォートを倒す」という話の根幹はそうであっても、それまでの過程については、9巻時からはもう散々ドラマを変えられて世に出ているのではないかと考えてしまいます。
そのあたりは以前書いたこちらも良かったらどうぞ。
それに副読本に書かれていることが、GTM改変後だけでもあまりに沢山変わっていますから。(カイゼリンの引き渡し年とかもそうですね。)
否、ファイブスター物語は別に何でもありのお話。年表最後の文言、7777年に惑星フォーチュンで天照とラキシスが再会してカレンが誕生しハッピーエンドで終わることが予告されているのだからその途中がいくら変わったって構いはしない、のかもしれないですけども…。
ただもう少し「出版物を新品で買って読んでいる位のFSSいち読者が”あ、変わった😭”とすぐに悟られないように、手掛けていただけないですか?」と思ってしまったりします。
そして今回の新潟では、永野先生と川村万梨阿さんに、井上伸一郎さんも交えたトークイベントだったこともあってか、ついでに思い出してしまったこともありました。
ゴティックメード公開直前に「まも☆しん」というポッドキャスト番組が公開されました。(これは今でも聞くことが可能です。)永野先生と井上伸一郎さんとのトーク番組です。
この中で先生は「ゴティックメードはファイブスター物語ではない」と仰っていて、それを真に受けて公開直後に映画を見に行ったFSS読者(私もそうです)を驚かせました。
でもそれ以降、私は先生、時折一線を超えちゃうこと言っちゃうんだろうなぁと思うようになりました。ですからトークイベントで持ち上がった内容「最近の連載で泣いた」も「9巻でシナリオが出来て~」も視線がどうしても疑いの眼差し👀になります。
それは先に上げたような事が実際に物語の縦糸と横糸との間で繰り広げられているからです。(勿論感想は個人それぞれですが。でも井上さん本当に泣いちゃったの?出版側の方ならば先に上げたような疑問点のひとつでも先生にご指摘してほしかったとも思ったり…)
とはいっても、決して、いや間違っても「○つき」だと先生に向かって言いたくありません。
ファイブスター物語も先生のことも大好きですし自分にとっては永野先生は半ば命の恩人でもあります。(ここでは書かないけど)
でも私は「先生のやることなす事何でも、楽しめればOK!」という「マモルマニア」にはとてもなれないなぁ…とも同時に強く思っています。
こんなひと、きっと少数派なんでしょうけども、ね。
すみませんこんな内容を書いてしまいましたけども、とはいえ5月号が出れば、FSSの続きを普通に楽しんでいると思いますので、ここまで読んでしまった方、感謝感謝ですけども同時に忘れていただけたらとも思います…。
・最後に、天照が話した4人の「この世にいないバランシェ系ファティマ」について。
結局のところ、永野先生が「がんばれエストちゃん」で示したお二人と、バランシェボディは違うということでしたから…とはいえすんなりと全員が分らない感じで物語「緋色の雫」が終わってしまったこのお題。
でもチャンダナのことを考えると。そして京とかバシクのような他のファティマが、遠くの謎の世界にいる「ドアランデアスティルーテ」のことを仲間内存在として認識しているのであれば、最終的にはこの4人なんだろうなぁと思うようになりました。(違っていれば良いなとも思うのも確かですが。でも4人目をドアランデアスティルーテにしちゃうと、モナーク・セイクレッドの中にいるタイ=フォンとかだって怪しくなっちゃいますしね…)
それは永野先生が敢えて4人目についてヒントすら与えなかったこともこの憶測の中に含まれます。そしてこうならば、チャンダナが最終的にどうなったのかも説明が(一応)付きそうなのかなとも思います。
やっぱりチャンダナも彼女もアトロポスの話す「私たちは見守るだけ」というファティマの不文律に反して、世の中を変えてしまったということなんでしょうか。
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