臨場感体感上映とゴティックメード。


 2022年に再ロードショーとなった「花の詩女 ゴティックメード」が11月10日までの10日間限定公開だということは予め分かっていたのですけども、その間沢山観たいとは思っていたものの、今回特にお仕事関係の調整などはしませんでした。
 なので7日月曜日の予定が先方の都合で延期になったとき、心の中で密かにガッツポーズを取りました😂更に映画館の上映スケジュールを見て更に笑いが😆
「これならば、あの場所へ日帰りで映画を観てこれる!」
 (他の日が全く空いてなかったので)ちょっと綱渡りではありましたけども、なんとか私は東海道新幹線に乗って、静岡県東部の三島駅に。
 駅近くのお店で網代産カマスの天丼を大変美味しく頂いたあとに、バスに乗り込んで10分くらいでしょうか。映画館のあるサントムーン柿田川にたどり着きました。

 ちょっとこの写真だけでは分かりにくいのですけども、サントムーン柿田川はかなり巨大なSCというよりも、「郊外にあるお店を一挙大集合させたような建造物」のようになっていて、生鮮品などは勿論、ホームセンター、電気店、ユニクロに映画館、ボウリング場までひとかたまりのように作られていて、一体どこに何があるのか把握するのに時間がかかってしまいました。

 今回こちらに出かけたのは、ここの映画館シネプラザサントムーンがゴティックメードの上映に「臨場感体感上映」という枠を設けていたことにあります。(以下映画館HPからの引用)
BARCO社製 4K RGB レーザープロジェクター(SP4K-25) と
DOLBY社製 シネマプロセッサーCP950により
作品に適した最高の映像と音響を実現し、臨場感を体感できる上映方式。
 ゴティックメードはドリパス時代からのご縁もあってTOHOシネマズ系列で再ロードショーされていますけども、今回TOHOシネマズ以外のいくつかの映画館でも再上映されています。※上映館は以下記事からご確認下さい。
 近年(特にチェーンとなっていない)映画館が最近、映像や音響にこだわっていることを売りに劇場アピールしているところが増えていることもあり、このシネプラザサントムーンでの「臨場感体感上映」はとても気になっていたのです。
 ただゴティックメードは一日一回の上映しかなく、スケジュールが合うか不安でしたけども、今回バッチリ日帰りできる日程になったのはとても幸運なことだったと思います。
 しかもシネプラザサントムーンではこういった特殊上映でも追加料金なし!なばかりでなくこの日はポイントカードを持っている人は1200円、しかもポイントカード作成無料(今年いっぱいだそう)、かつカードに記名するだけですぐさまこのサービスが適用されて大変ラッキーでした💛
 さてそのシアター3(300席)「臨場感体感上映」でしたけども…。
 うーん、ちょっと評価が厳し目になってしまうのはお許しください。(これは特殊な理由もあるような気がします。以下本文で。)
  • 座席などはゆったりとしてていいです。スクリーンも大きめです。
  • 音響も悪くないです、音量も大きめでしたし。
  • 発色はとても綺麗です。輝度(ピカピカ部分)もきちんとしっかり光ってます(キラキラはTOHOシネマズ池袋と同等かそれ以上かも。)
 なんですが…「この映写機、黒が苦手なんだろうか…。」というのが今回の「臨場感体感上映」での感想です。
 人物などのアップでは特に気にならなかったのですけども、人物が引いた画面だと途端に描写が落ちるのです。
 最初自分の中でストーリーを追いつつも何故人物が小さくなるとぼんやりしてしまう。(そうですね…特に4人以上映っていると特に感じた)どうしてこうなるのか、まさか自分の目が悪くなった?と不安になったほど。
 ただ背景だけのシーンでは美発色。色は本当に良いんですよ。アップも別に問題ない。ただ人物が少しでも小さくなると途端に映っているものが曖昧な感じになる。
 ああ、ひょっとしてこれはセル画の黒線の描写がいまいちなのかな…と気がついたのはラスト近くになってからでした。でも上映中、そういったことが終始気になって仕方がなかったのです。

 他の映画でドルビーシネマの作品を見たとき、そういえばドルビーシネマは色だけでなく、黒の描写に力を入れているとデモで言ってたものなぁ…というのを思い出し、ひょっとしてこのデジタル映写機はそういうのを苦手にしていたのかな、と思うことになってしまいました。
 というのも恐らくですが、他の作品の映画予告では全くそういったことが気にならなかったからです。(今回ゴティックメードのお陰で、特にすずめの戸締まりとかがみの孤城とワカンダフォーエバーは予告を何回も観ています😅)
 多分CGバリバリの作品や光りまくっている今どきのアニメーションならば、この臨場感体感上映はとても有効ではないかと思っていますし、また私がゴティックメード初見だったり、2012年公開当時の環境しか知らなかったら多分感激しまくっていたことと思います。
 スクリーン環境としては大変良いものですので、静岡県東部や静岡市の方などお近くの方は是非(ゴティックメードは残り3日しかありませんが)訪れてみて下さい。

 そんな感じで自分としては少々気の抜けた感想となってしまいましたけども、帰りにサントムーンすぐ近くの柿田川湧水群を見てその透明度に癒やされ、鴨や散歩中のワンちゃんなどを横目にリラックスしながら40分歩いて三島駅へ帰りました。
(いい塩梅のバスがなかったのもあります😂)
 しかし今回の旅で思ったのは、「ゴティックメードってなんてピーキーな作品なんだ!」ということでした…。
 音、色、描写、全て揃っていたときの物凄さがあるのに(しかも誰にでも分かるレベル)どれか1つ欠けてしまっても…観客は恐らくシンプルなストーリーだけを注視してしまって、この作品の膨大な作り込みと贅沢さに、映画館の古さのせいで気が付かない方も多いのではないかという不安です。
 それでも映画が公開された10年前よりは大分状況が良くなっているかと思いますが…。
 ファイブスター物語の読者ならばよく知っている永野先生の緻密さとセンスとこだわりとが産んだゴティックメードという作品、そのパワーと心と脳天への衝撃は私もまだ数回しか味わっていません。(シネプラザサントムーンでGTM47回目なんですが…。)

 今年TOHOシネマズ池袋(2020年オープン)でようやく全ての要素が出揃った感があるのですけども、この繊細さと迫力とを全国全ての劇場で味わえるのは、すくなくともこのクラスの表現力があるスクリーン映写機が入れ替わるとき…5年後くらいなのかなぁ、なんて思ってしまいます。
※恐らくなんですが最近リニューアルされたようなところは映写機が入れ替わっているはずなので、そういったところや新しい劇場はゴティックメード美麗に映っているんだと思います。ただ実際に行ってないのであくまで推測なんですけどね😅
 今回ゴティックメードの再上映が北海道でありませんけども、2023年秋にTOHOシネマズすすきのができる予定なので、その時は是非!ゴティックメードをプレミアムシアターで上映してほしいものです…。映画館側にとっても大変有効なテストケースとなると思いますよ!!
 だからね、自宅でゴティックメードなんてとても無理なのよ!と改めて強く思うのでした…。だって専門設備の揃っている映画館ですら、ちょっとのコンディションの違いで、こんなにも作品への印象が変化してしまうのですから。

コメント

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