おまけのおはなし。時代とランジェリー。(2017年7月作)

 
  最近SNSでブラトップとブラジャーの話題が世間一般で成されたみたいで、時々そんな話が私のタイムラインに流れ込んできました。
 しかし「近年ブラトップが流行っているのはブラジャーが高くて買えないから」という主張をされている投稿を目にして、「え、それは流石にないんじゃないの…」と思った時、そういえば私も以前そんな事にどこかで触れたなと思い起こすことになりました。
 それは以前配布物として作成したファイブスター物語のへっぽこコラム集”Fugetta3.”の中ででした。
 このコラム集はもともと、2016~17年にかけ、オンラインでは書きにくいけども、それでもへっぽこが思うFSSの話題にご興味ある方向けにと、ほぼ書き下ろしで発行し、アドセンスを元手にして十数名の読者さんの手元に配布(頒布ではなく)しました。
 あれからもう一年経ってしまいました。しかもそういえばその後もリリさんのガーターベルトや、更に際どいというか危ういこともこのブログ内に書いていますし^^;(え、それは何ですかって?思いつかない方はスミマセンが探してみてください^^;)この話自体はあくまで書きたかったことのおまけでしたから(冊子は1~3までありましたけども、3のみ18歳未満お断りとしていました。)これくらいなら一般公開しても差し支えはないかな、とネットに置いていくことにしました。
 「おまけのおはなし。時代とランジェリー。」は2017年、単行本14巻にあたるツラック隊の連載が終わり、次のトラフィックス3パルスエット編が始まる直前に書いたものです。ご興味ありましたらどうぞm(_ _)m
※尚、Fughetta3.含む配布物の再発行などは現在予定しておりません。


おまけのおはなし。時代とランジェリー。(全録)

 ニュータイプ2017年7月号でAKDの女子高生たちが同じく” 年増の女子高生 ”であるLDI20のパンツを見てブラデリスだと騒いでおりましたが、ううん?女子高生がブラデリスをチェックしたりするの?と当時もファイブスター物語・ネタバレ付き感想のところで触れていました。
 というのもブラデリス・ニューヨークって、今では多少お若い方にも触れてもらえるようなデザインやシーンに合わせ使いこなせる用途を心がけているようですがそれでも” 補正下着が多少おしゃれになった感覚 ”の下着であることには間違いないからです。(当然ニューヨークではなく、日本の会社です。)
 彼女達が自分が使っていると触れている下着ブランド(としておきます。鍵括弧内は親会社名)チュチュアンナ(ワコール)、アモスタイル(トリンプ)、ピーチジョン(ワコール)はいわゆるよくSCの路面店などで展開されているリーズナブルな価格帯のインナー店。ブラデリスはそれらとは違いデパートやサロン、下着専門店でも展開しているタイプのメーカーです。(とはいえ補正下着系の中では価格抑えめな方ですけども…)
どうして毛色の違うこの下着ブランドが女子高生の中で同じ土俵に立っているのか??

  …あ、そうか!と気がつくのに私は十数日かかりました…。
 実はブラデリスもチュチュアンナもアモスタイルもピーチジョンも、皆アマゾンで取り扱っているブランドなのです^^;
 お店に行かなくても、好きな色柄とサイズだけ選択すればワンクリックでお家まで届いてしまう。
  あの中にいるAKDの女子高生たちは立派な家柄の方ばかりで庶民ではないのだから^^;もっと高価なものも選べるはずなのですが、” 日々の学生生活とミラージュ騎士やAKDの要員としての役割から ”多忙な彼女達はお店に出かけていって好きなものを選ぶような時間がなくて、ネット通販で買ってしまう。
  アマゾンだとブラジャーも沢山のメーカーが一同に並び同時に買うことができます。チェックしている間に” もう少しオトナなブランド扱い “のブラデリスの画像も見てしまい、それで彼女達もその存在を知っていたのかな…という感じを受けました。

 しかしこれはFSSに於ける下着の扱いが変わったという印象にもなるし、時代が変わった様な感覚も、私としては両方の感想を抱きました。
  FSSは美味しいものもよく出てきますが^^;ファッショナブルな作品でもありますから、衣服に関する項目も沢山出てきます。
 ここではインナー類の話をしていますから、まず読者の皆さんがぱっと思いつくのは9巻のヤーボが着用しているショーツやビスチェがラ・ペルラ(伊)のものであったり、10巻で桜子がヨーンの下着泥棒に対して「シバリス(仏)か?プリンセス・タムタム(仏)か?ラヴァージ(仏)か?リグビー&ペラ-(英)か?それともオーバドゥ(仏)かな?」と言って威嚇しています。(全部インポートものですから括弧内は国別です)
 この中ではプリンセス・タムタムだけがガーリィな印象を与えるものの、それでもこれですらブラデリスと同価格帯、あとの下着ブランドに至ってはAKDの女子高生たちの10倍以上は予算がかかってます…^^;
 こういったものは最低限で伊勢丹新宿店に行くか^^;(普通のデパートでは扱っていないものも多い)街で華やかな身なりのマダムが経営している下着ブティックに通って手にいれるしかありません。

 勿論ネット通販全盛の今時ですからこういったアイテムも通販でだって買えなくはありません。しかしこれらの高級(超を付けても良いと思う)ブランドの下着は” 試着して買うことが前提のもの ”でもあるのです。
 サイズ?なんてラ・ペルラは普通1,2,3,4,5位しかないし、(服やストッキングと同じ感覚)デザインが異なる→着用感が商品により全く異なるのが当たり前だからです。
 例えば70Cとタグに書いてあっても商品によっては1~2サイズが前後するのはよくある話、インポートのランジェリーにはそれが更に顕著であり、実際に試着しないと自分の身体に合っているものなのかさっぱり分からないのです。
(ここで70Cという数字にに対しての男性向け解説です。
・アンダーバスト、いわゆる乳房の真下の周囲が70cmであること。そしてCカップならばトップバスト→胸の一番高い位置がアンダーバストに対して差が15cm有ることが求められ→70+15cm=90cmのトップバストの持ち主がCカップということになり、こういう数字が女性たちの間では使われます。
・よくグラビアアイドル辺りで巨乳の方にGカップ90cmと使う事がありますけども、Gカップはトップバスト引くアンダーバストの差が25cmと決まっています。ですからこの方はさっきのCカップの例と同じ90cmではあるのですが、90-25cm=65cmとなりアンダーバストに違いが表れます。
これでグラビアアイドルの方は細身であり、確かにこの方は胸が大きいんだな、というのがやっと具体的に分かります。単にバストの数字だけでは女性の身体を測りきれないのでご注意を?^^;)

 ということは、ヤーボはちゃんとブティックへ足を運んで彼女が一番美しく見えるデザインと設計のものをちゃんとお店で買っていることになり、桜子さんは満たされない孤独な日々の暮らしを下着を含むファッションで補っていることになります。(しかし彼女、胸はえぐれてまな板なんですよね…彼女に合うものがあるのかなぁ^^;)
 ただ先にも書きましたがAKDの女子高生たちだって立派なお嬢様方ばかり。予算はいくらでもかけられるはずです。
 なのにこういった違いが出るのは9巻と14巻(予定)の間にある歳月にあったファッションの変遷…(ここだけで20年近くありますからね^^;)加えてその間に生まれた女性たちが下着に持つ価値観の相違がもたらしているように思います。

 ひとつは安価ながらおしゃれなものが大量に出回るこの時代における象徴の1つ、ファストファッションにも代表される言葉の一つになった” デザインのコピー。“
 桜子さんが自分の持っている下着ブランドとして名前を上げていたうちの1つ、ラヴァージについてここで簡単に書くと、90年代ラヴァージは、ブラジャーがひとつ3万円位する高価なものでありながら、しかも大変セクシーなのに女性が特に好みそうな、デコラティブかつ退廃的な美しさも併せ持った独自の世界観を持つデザインのランジェリーとして一世を風靡しました。
 しかしここのコレクションが出る度に…なんか似たものが色々な下着メーカーから登場してくる。
 特に胸の片方にだけ大輪の花があしらわれているモチーフなんて、その後あらゆる価格帯のブラジャーが一度は真似したくらいではないかと思いますが、ラヴァージそのものは2010年代に入る前に姿を消してしまいました。
 ブラジャーやショーツは基本的に女性の身体を包み込む構造というのは変わりがありませんから、デザインの冒険がしにくいジャンルでも有り、基本高級ブランドでもレース違いやプリント柄や色などでそのときの流行やモードを取り入れることがほとんどです。


 もしも高級ブランドがそういった枠を飛び越え一度斬新なことをすると、あっという間に様々なジャンルに似たものが出回ります(逆にいくら高級でもコピーされないようなダッサイものも世にはありますけどね…日本の最高級と銘打ってるあれ…とか^^;)
 これでは残念ながら、一度成功してもファッションブランドとしては大きくなりません。

 あるいは現代のファッションが” 露出度や価値観の変化 “あるいは” 素材の進化 “により下着がよりシンプルな素材のものに回帰しつつある点も関係していると思います。
 ファイブスター物語初期設定で悪評を呼んだという^^;” 戦闘用ぶらじゃあ? “やFSSリブート2の連載表紙のひとつにあるアイシャやファティマたちが付けているなんとも素朴な作りの、色気の全くない^^;下着達。
 しかしこの1988年の表紙の時点ではまだ殆どなかったものの、その後世に大きく広まったのは” 下着のシームレス化 ”です。
 モールドカップに代表される、胸の形にカップが予め成形されてツルンとしており、上に着ている洋服にカップの形やレースの形状が響かないタイプのブラジャーや、ナイロン素材の織り方やパターンによってかつてのガードルほど締め付けず、苦しくない形でのヒップアップが叶う形状のショーツが世に出回るようになり、しかもこれらは当初厚ぼったくなったり肌触りがいまいちだったりしたものが近年素材やパターンの進化により快適に着用できるように、更に最近ではノンワイヤーでも補正効果を謳うものが現れるようになりました。

 これまでの下着…家でリラックスするためのものを除けば、特に若い女性が付けるブラジャーには胸の重みを支えるためのワイヤーが付いているのが当たり前でした。
 しかしワイヤーが変形するとその” 胸の形を整える効果 “がなくなってしまうため、洗濯は手洗いで行うことがどんな価格帯の下着でも求められました。
 ただ手洗いは普通の洗濯とは別に行わなくてはならないですし、手間もかかる為やがて洗濯ネットにブラジャー専用の、工夫が加えられたものが売られるようになり多くの方はそれを使うことで誤魔化していたと思います。(ただそれもどちらかといえば邪道の部類に入ります。)
 ですからノンワイヤーのブラジャーに” 胸を支え整える効果が “期待できるようになれば、洗濯機でも気軽に洗えるこれらが大ヒットするのも頷けます。

 加えて” ショーツのラインが響かないほうがいい。胸元は透けない方がいい。更には服にあったブラジャーがいい(今は着たい服に身体を合わせるために”胸をコンパクトに見せる”ブラジャーも多く出回っています。)”というファッションの流れになると…華やかなレースや刺繍はむしろ邪魔にもなります。
 あらゆるファッションに対応しやすいのはやはり飾りのないものであり、今はシンプルな形状でもカラフルな色合いのものも沢山出回っていますから、そういった実用的なものが日々のローテションになるのも当然のことです。
 勿論日常ではそういったものを使っている方も、例えば彼氏の前で下着姿になる時はとっておきとして華やかなものも身につけることは有ると思いますけども、脱いでしまえば一緒ですし^^;下着がその人を輝かせるのはほんの短い間だけ。桜子さんのように自分の趣味として華やかなレースを愉しんだりする文化が近頃はめっきり減っている、とは言えるのではないかと思います。
 目的が男性の気を引くとしても普段は下着を見せて回ったりすることはありませんから^^;だとしたらその分、お洋服の上から魅力をふりまくことに集中させればいい。更に多忙な現代、限られた予算と時間で選ぶおしゃれなのだから見えないところよりも誰でもわかるところにより投資したほうが良さそうだという現代ファッションの変化というのも感じられ、その点がインナー描写にも凝っているFSSにも少しにじみ出たかな、という風に思いました。

 とはいえ桜子さんに比べたら少し地味ですが一応オトナな感じで、かつ機能的路線な下着を選んでいるLDI20に対し^^;(あ、でも彼女変形自由自在だから機能は関係ない?^^;)AKDの彼女達も天照に振り返ってもらうには見えない所の自己投資も本当はもうちょっとした方が良いようにも思いますが…^^;
 それはブランドや価格帯じゃなくて、” 通販じゃなくて、お店で適切なフィッティングをしてもらうこと ”の手間暇という点でです。
 まだ皆さんお若いですし、人の手で何かしてもらうのは嫌かもですけども…少なくとも自分の身体特徴をきちんと把握できるまでは、下着は購入前にちゃんと試着したほうが良いですよ!^^;


この項余談
 ファティマさん達の下着ははきっと”ハンロ”一択なんだろうな…と思ったりするのですがいかがでしょうか。
 ハンロは現在ワコールが輸入している本当に飾りの全くないシンプルな、しかし綿素材の中でも最高級のスイスコットンを使用している、やはりスイスのインナーブランドです。ただし一見普通のタンクトップが8000円位したりします^^;(メンズもありますから、気になる方は一度どうぞ。)
 私はFSSのお陰で妙に繊維関係に興味を持ってしまい、下着に限らずまず着るものではまずタグを見て一体どんな素材を使っているか、チェックを欠かさなくなりました。
 スイスコットンは本当に優れていて、薄くしなやかなのに艶を持ち、大変丈夫で快適な素材であり、普通の綿素材とは一線を画したものであると実際に触ったりすれば誰でもすぐわかります。もしもそんな素材タグを普段のお買い物で見つけたら是非一度お試しになってみて下さい。
 (スイスコットンは産地ではなく、スーピマ綿などをスイスで紡績し、その糸で作られた生地になります。スーピマ綿自体も希少かつ高級素材で、それを使ったTシャツを1000円で売っているユニクロも相当凄いのですけれども…尚、スイスコットンもスーピマ綿も、それを使っているものに対しては独自の素材タグが付けられているのですぐわかりますよ。)
 尚ユニクロの親会社ファーストリテイリングは、先に登場した仏のランジェリーブランド、プリンセス・タムタムを買収しており、今シーズンはコラボ水着がお手軽価格で出回っております。本家のインナーは日本にやってくるとユニクロの5~10倍位しますから、この辺りは日本でのコラボレーション効果ですね。下着類もそういった路線が出てくるとまたおしゃれで良いと思うのですが…(でも日本人は保守的な色柄を好んでるからなぁ…。)

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