出来るひとの危うさ(2013)

 さて今月号で聖宮ラーンへ向かったダイ・グとクリスと剣聖慧茄。併行してナカカラで行われた議会には出席せず・・・というのは単行本に皇帝の決裁権の一部をミヤザの進言で議会に託すという描写があるからその通りの展開ではあるのですが、
 とはいえ皇帝が元老議会ではなくラーンへ急行。というのはそうした方がフィルモアには重要だという事で良いのだと思うのです。
 表面上は友好国としてのご挨拶、ということなのかな?(フンフトがダイ・グを案内したのがテラスですし。一応聞こえては拙い話はそこではしませんよね・・・)

 そしてダイ・グには今回彼のおばあさま、剣聖慧茄がついていますよね。席を外されはしましたがフンフトも彼女がフィルモアにとってもラーンにとっても重要な人物であることは認識しているのは台詞からも間違いありません。
 前回の感想文で慧茄がニコニコしていて不気味だというのは(それは決して彼女だけではないのですが)書きましたが、そんな彼女について現在の状況を簡単に取り上げると・・・

・孫(ダイ・グ)が大変可愛い(当たり前だ!)

・現在は剣聖預かりの立場になっている(多分マドラの覚醒?まで)→現在のところ一番強力な騎士だという事で良いと思う。


・前々皇帝フィルモア4の后である→カラミティ星の重大問題も無論承知している。


・上記の地位、しかも剣聖という事もありフィルモア帝国内でも大変重要視される個人である。


・報道陣の前では動けないおばあさんのふりしていたけど→全くの擬態で、実際はGTM(ラミアス)もAT(クラトーマ)もあってしかも上記のことがあるからほぼフリーハンドで動ける。


・彼女は前々詩女のボルサの叔母(実際は慧茄の方が下だけども)であり、この二人は仲良しだった。そして若い頃からボルサと聖宮ラーンを盛り上げる役をしていた→この事から聖宮ラーンの事情にも大変詳しく、ミノグシアの民にも恐らく一目置かれる存在だと思われる。(ただ大分昔の話だから当時の事を直に知っている面々は少ないと思うけど・・)

・慧茄もミノグシアに思い入れがあり、この戦乱を非常に憂いている。しかし聖宮ラーンがある限りは沈まぬ!と言っている(12巻)

そしてその生涯を聖宮ラーンにておくった、らしい。(DESIGNS3参照。ラミアスもクラトーマもいたまま)

 ・・・これだけ基本的なことをざっと上げて思ったのですが、今月号を読んだ時は「あ、やっぱり孫の使命を支える為、彼の側にいることにしたのかな?」とも感じたのですがその後もずっと聖宮ラーンにいたってなると、どうもそうじゃないのかしら?
 以前ダイ・グに関しては去年こんなことを書いたのですが、彼のあまりに重たい課題に対して参謀となる役のものが誰もいない、という事を大変気の毒に思ったりもしたのですが。そして今月号で慧茄がそれになってくれるのかとちょっと期待したのですが・・・

 彼女は非常に能力がありますし、大変人からも慕われているのは間違いない。しかも強くて芯のあるカッコいいおばあさまですよね。私も剣聖慧茄、とても魅力的に感じています。
 ただ前から気になっていたのですが、彼女はカラミティ星の運命を知りつつも、「それでフィルモア帝国がミノグシアの戦乱にかこつけてナカカラの乗っ取りを目指している」事に関しては否定的な見解を持っている、という点です。
 だから突然ベクター・赤城を助けてみたり、その強さとフリーハンドの立場で個人的に動いてしまう。(これは後でぼったまに怒られていましたが。)
 単行本12巻で彼女はクラトーマと話していますがその時に憤りを向けている「奴ら」というのはフィルモアの裏の勢力→元老院を指しているのだと思います。皇帝の后だった彼女はその辺りの老獪さもよく承知している筈です。
 でも孫のダイ・グとしては例え時間がかかったとしてもその動きで成功させていかなければなりません。果たしてその時慧茄ってどういう動きをするのだろう?孫の事は可愛くて仕方がないだろうし、やがて来る星の運命について、それは重々分かっているとしても。
 彼女は一体これからどうするのだろうか。その事が気になったのです。

 そして剣聖慧茄は、今月号で皇帝ダイ・グに付き添いラーンに向かいました。
だとしたら彼女が取り得るだろう行動の一つが「ミノグシアの象徴でもある聖宮ラーンとフィルモア帝国の友好関係をより強めておく。この蜜月によってナカカラ乗っ取りを穏便に、かつ期間を早めて戦乱がはやく終結できるように仕向ける」なのかなぁ・・・と思ったのですがどんなものでしょうか。
 だとしたら慧茄がずっと聖宮ラーンにいる事になるのも分かる気がするし、ぼったまの強力な支援にもなる。そしてミノグシアも荒れずに移民が可能になってめでたしめでたし・・・かな?
 え?そんなへっぽこが思うような案など受け入れぬ??・・・ハハァ・・・(^_^;)(^_^;)と思ったら、フンフトさん皇帝の嫁に…OKだったのね慧茄さん。(2019年追記。この当時はそれ知らなかったので)


 だけどそんな事上手く行くのかな、勿論彼女はダイ・グの過酷な使命を支援できるよう次の手次の手と、打ってくるのかなとは思うのですが。(今の詩女フンフトと慧茄がどの位の認識、及び関係があるのかが分からないのでその辺りは今後待ちですね。)
 孫の為なら援助は惜しまないと思います。クリスを見事に立ち直らせ彼の支えになるよう進言したのも彼女です。(←一応それで良いよね。慧茄の発言の中身に関しては、・・・正直なところ物語の進行を待たないと分からないから)
 ただもう一回繰り返すけどそんなに上手くいくのかな・・・現在繰り広げられているフィルモアの状況から、彼女の強さと自由さと確固たる信念から、映画ゴティックメードから、そして年表の裏打ちのない案件だから、私が思ったのが今回のタイトルになっています。

 剣聖慧茄はとても楽しく素晴らしいおばあちゃまだと思っている故に、彼女が抱えている矛盾がどう戦乱に、またフィルモア帝国に響いてくるのかがとても気がかりなこの頃です。

※この後FSS・GTMアンソロジー本”Joker2014”についてのお知らせがあったのですが、完売とのことでこちらについての項目は削除させていただきました。m(__)mお買い上げいただいた皆様、本当に有難うございました!(12/10追記)

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