さて後半。
前半でアイシャが言う「ファティマの魔性」には勘違いが入っているのではないかと書きましたが、これはファイブスター物語で色々なキャラクターが語られてる、「全てのファティマに対する総評」にも勘違いが大いに含まれていると私は考えています。
その一字一句までが間違っているとは思いませんが、全てを言葉のままに信じるのも、とても危険な事だと。
その台詞を語るキャラクターは何人かいて、どのキャラクターを想像したかは人それぞれだと思います。しかし全て人間側からが一方的に語っている。
ファティマは自身から自らを語る機会はまずないのです。そしてファティマ側から己の立場を語っている「町」は10巻であんなことを言いながら泣くのです。その言葉に矛盾が含まれているのは明らかではないでしょうか?
なのでこの方の台詞にも、私には矛盾を感じます。
「貴様なぞにファティマの悲しい思いなどわからん!彼女らとて・・・人間に生まれたかったのだ」
ウリクルの死に直面したコーラス3が相撃ちにあいながら涙を流し呟くこの言葉、でも本当?
・・・ファティマって人間になりたいの?
確かに普通の少女に生まれていたら、戦争とは無縁の人生が送れたかもしれません。でも人間には人間の持つ苦労が存在し、しかも一から全てを学んで、例えば騎士だったら騎士としての人生を生きなければならず、しかも延々と続く命も美貌もずば抜けた頭脳明晰も、身体能力も存在しません。
勿論自由も全く存在しませんが。しかし極一部の銘入りファティマを除き、誕生が成人した状態で、即騎士に仕えることを義務付けられている彼女達に、自由がいかなる状態なのか、分からないのではないのではないかと思うことがあります。
自由が嘱望されるのは、保護してくれる筈の騎士がいなくなり、自分自身さえ守ることができず慰み者に落ちたとき・・・でもそれではもう遅いのかもしれません。
ではそのときを除き、ファティマが人間になりたいと思うことがあるのか?
・・・あるかも知れない。でもそれを考えた時、私はこう思いました。
「あのねコーラスさん、あなたの隣にいたファティマだけではないですか?そう思ったのは。」
ファティマは不安定とヒュードラー博士に言わせているのは、兵器である筈の彼女たちが生きていて、心があるからです。
既に騎士との相性なるものも分かり、お披露目のシステムが出来上がりました。
しかし人間がいくら服従に向け制限を課し、レールを敷いてもこぼれる砂は存在します。
殆どのファティマにはなくて、ウリクルにあったものは、コーラスへの恋心。それが本来の主従関係に入り込んだとき、彼女の言葉や行動のひとつひとつ、「マスター」のひとことですら全て変質してしまう。「あなたに仕えるのはあなたが好きだから」という、他のファティマでは生まれ得なかった無言のメッセージが自然と含まれてしまうのではないかと思います。(それはお披露目というファティマに与えられた限られた選別的な選択ではなく、ああいう形で出会ってしまった後天的理由によるものです。)
そんな彼女が常に自分のそばにいて、日常を過ごしてしまったら、・・・いくら鈍そうな彼だって、やがては自分が愛されている事に気がついてしまうのではないのでしょうか。
しかし例え相思相愛になっても、彼女は王妃になる事も新たな命を残す事も出来ません。ウリクルは別にマスターに訴えたわけではないかも知れませんが、その悲しみだって、きっと側にいれば伝わってしまうのではないかと。
分かりにくいのですが漫画のなかで、コーラスが本心を出しているのはウリクルと接している時だけで、あとは王様の顔をして過ごしています。「彼にとっての真実の奥さん」が、ウリクルだったように私は思います。(DESINS2のウェディングドレスに、彼の名前が入っているから。)とてもじゃないけど若いときは何かとぼけた印象の頼りない彼が「王としても偉大」と言われるまでになったのは、彼女に時には叱咤激励もされつつ、愛を貫く為隙のない人生を歩むしかなかったのではないのでしょうか。
だからエルメラ王妃にも、最後まで謝る事はなかったのだと考えています。罪な事だと当初から知っており、情はあったかもしれませんがそれ以上は・・・
加えてクローソーもどこか勘違いして彼の事を好きになってしまいますが、彼は多分クローソーには心を開かなかったと思います。彼女が好きになったのは、もともとの彼ではなく王様としての彼だから。コーラスはジュノーンに同乗することは許したものの、もしあの時命を落としていなかったら・・・なかったからいいけど・・・クローソーのことを説得したかも知れないけれど、いざ刃が向けられたら、彼はクローソーを射出して、自分だけ命を絶ったように思います。
そんな感じです。ヨーンにしてもコーラス3にしても、自分が思ったことをツラツラ書いただけです。勿論違う事を考えた方も大勢いらっしゃったと思います。そしてそれがFSSのあるべき姿だと私は思うのです。
前回も書いたように、ファイブスター物語を読んだ方が、台詞や物語を頼りにそれぞれ抱くキャラクターの印象、恐らく100人いれば100通りのカイエンやダイ・グがいるはずです。
それを面白おかしく表現し、しかもゲスト(ゲストはあくまで一読者でもあるはず)の一考察としなかった今回の男性キャラクター列伝に怒りを感じたのはこの点にあります。皆さんの抱く登場人物への思いを、わざわざ邪魔して欲しくなかった。とくにFSSに関してはそれが楽しみのひとつでもあるように思い、ひそひそ声にもならない事は分かっていたけれど、あえて記させていただきました。
コメント
トレーサー2の女性票だけのアンケートの出処について、トランプからのものじゃないかとコメントしたのですが、私の勘違いの可能性が大だとわかりました。出処ははっきりしないですが、恐らくリブート刊行の時に人気投票があったように思いますので、そこからの抜粋かもしれないです。
前回のコメントで返信したのですが、もしかして気づかれてないのではと思い、失礼ながら再度コメントさせていただきました(ーー;)
編集部の記事の作り方にショックを受けていた良くない精神状態のまま、あの様なコメントをしてしまいました。ご迷惑をおかけしました…早とちりでしたorz
こんな私ですが、チークさんのブログ楽しみにしてます!チークさんの真摯な想いは、回数自慢のファンよりも永野先生は喜ばれると思います^^;
昨日は記事を一気に二つ書き上げた後、脳味噌がショートしておりました^^;遅くなってしまい大変失礼いたしました。今も「アラビク~プレタポルテ~コーヒー?」などと訳のわからないうわごとを言いそうになっております^^;
しかし私のようなへっぽこですと、あの新規設定の数々、驚きは少ないと書いたもののいざ新しい単語を目の当たりにすると「へ?」となりそれ以上進まない所が多々あります。もうちょっと純粋に謎を突き進めたかったのですが、昨日随分パワーを使ってしまったので、多分連載再開までには時間が足りなくなるようにも思います。できる事から、という感じでしょうか。本当ならもっと時間をかけ、予想を楽しみたかったようにも思います。
いえいえ、投票の件はお気になさらずに…私は何せ真面目な読者にはほど多く、あんまりアンケートとか出した事がないため(リブート6のとき書いたのが久しぶりだったかも。年表に文句を突きつけた気が^^;)その点は自信がないところが多いです。ただ、ボードやミューズの名前がないのは本当なの?みたいなケチはつけたくなります。それはトランプの件のことがあるので、ちゃんとした出所がはっきりしない限りは、それはいつまでも付きまとうと思います。
何せへっぽこブログですから、声の届く範囲に限りがあるのは重々承知で書いております。永野先生が読まれているかどうかはさておき、(ないと思いますが^^;)タクトさんのお言葉がこういう時何というか、ションボリしたときに、身に染みます。本当に有難うございます…