仮面のない仮面舞踏会 ~ファイブスター物語のドラマのひとつとして、徒然と。(12/06/04)

ちょっと思うことがあったので思いついたままに。
書きものですが、私が思うFSS像について、その一つを「希望すらないパンドラ」を手がける前に、つらつらと。

何故か今回「真夜中の会話」関連の事がきっかけで、FSSはじめましての方にお会いする事があります。
劇場版とか、1巻を手に取ってくださった方もいらっしゃり、私としてはとても嬉しいです。
1巻もしくは映画版は、ファンならその展開をご存知だと思いますが、「レディオス・ソープは○○である」「ボード・ビュラードも実は○○である」とか、いわゆる主だった登場人物や世界の紹介をしつつもまるで狸の化かしあい(^_^;)その人個人は実はいったい誰なのか、すぐには分からないような作りになっています。
これを私自身はありきたりながら「仮面のない仮面舞踏会」だと思っているのですが、ただ、1巻での描写はあくまで自己紹介ゆえなのか、それがイコール登場人物の正体以上のことが分かりません。
本来の仮面舞踏会は、2巻以降に描かれていて、それが面白さの一つになっていると思うのですが、いかがでしょうか。

まず主役の天照帝(レディオス・ソープ)自体が「本来は感情がない・ソープで練習している状態」なので、母の天照のミコトにある事をぶちまけるシーンなんかは、たまげたものです。それが練習の賜物なの?それ言っちゃっていいの?みたいな。でもその直後にバランシェの最期を悟り泣くソープのシーンがあり、それはそれでやはり彼の本音なのかな、と。
しかしその前にああいう吐露を持ってくることによって、全てがとても辛い、悲しい場面に一滴の毒を加えた、複雑な思いを読み手に抱かせたり。
「愛してない」と言い切ったラキシスにも木の下である事を語るシーンがあります。あのぼんやりとした感情・・・しかし彼でしか抱けないだろう壮大な思いをラキシスに打ち明けたのは果てさて、少しは彼もラキシスの事を考えるようになった?それともただ単に練習の成果?と読者に悩ませているような気もします。

その人が偉くなれば偉くなるほど強固な仮面を被っているように思います。そしてそれを外す瞬間がとても面白いし、誰に向かって素顔を見せているのかによっても、登場人物本来の喜怒哀楽に加えて、一種別の彩を放つのが興味深いです。
ダイ・グが涙を流しつつ自分の立場の重大さを語るとき、その隣にいたのは祖母の慧茄。その話の重さから、確かに慧茄はその時の彼の話し相手には一番相応しいと思うのですが・・・一方で、それを語れる友人や年の近い人は彼の周りにいないのか、という悲哀も同時に感じてしまったり。
アイシャの天照に対する思いのたけ・・・本人の前で少女のように泣き笑いを見せるのも、独り昔の出会いを巡らせるシーンも、仮面を外した姿でしょう。どちらも抱え込んでしまったどうしようもない、実る事はない恋とそれを受け入れた自分、のような思いがよく透けて見えます。

面白いのがファティマに対して仮面を外している面々でしょうか。
恐らく分かりやすいのがレーダー8とコーラス3の違い。どちらも明らかな本音でありながら、レーダー8のそれは、仮面を外しつつそれでも別の仮面を被っているのか、あるいは「テニスの壁打ち」と一緒で、パートナーのクラトーマは、別に置物でもいいのか(失礼な書き方ですみません。)しかし彼はその後クラトーマとの関係を老いたという事で解消してしまったので、何故彼女にそれを明かしたのかは分からないまま終わってしまう可能性は高いでしょう。
レーダー8の事についてはこの先も書きたいことがあるので、また出てくると思います。
コーラス3の場合はウリクルとクローソーという2人のファティマがいる訳ですが、明らかに態度が違う、というか、クローソーには仮面を外していないでしょう。素っ気無いとかそういう要素は全く無縁そうに見える彼でも、恐らく素顔を見せていたのはウリクルと作っていたジュノーンに対してだけのような気がします。(エルメラ王妃との直接会話シーンがないので分かり難いですが、)
この辺のヒトになると威厳か、あるいは穏やかな微笑で全てを包み隠さなきゃならないんでしょうかねぇ・・・
(なのでDESIGNS2のエンゲージSR3の解説にはやや違和感が。永野センセイのところにでも男性からクレームが来たのか?と思ってしまったり。)

仮面は強固な面々ばかりではありません、特に若者は付けなれていないのか、セイレイさんはすぐ壊して本音(あるいは我侭?)ばかりだし、クリスティンの決意は、ダイ・グへの愛の誓いと同時に、ハイランダーという名前の仮面を、その時までは着け切れていなかった皇帝代理騎士としての顔をがっちり被った瞬間のようにも思えます。
個人的にこの件で今後どうする、どうなるのか気になっているのが3名、その身分の割に表裏のあまりになさすぎるちゃあと、修行の身から近く法王になる、成長しつつもまだ愚直な感じも漂わせているミューズ・バン・レイバックと、実はいくつかある仮面をとっかえひっかえ被り続けているような気がしてしまう、ボード・ビュラードです。
ミューズはスケルトンの仮面でも着けるのかなぁ・・・。ボードはきっと、誰に向かって外すかは見えてこないですが、今後そんなシーンがある事を期待しています。大侵攻のきっかけは彼が握っている訳ですし。

そんなこんなで長々と書いてしまいました。ファイブスター物語の魅力は何なのか、ちょっとその一つに触れてみたつもりです。(あくまでつもり・・・^^;)
皆さんの好きなキャラクターは、いつ、誰に対して仮面を外しましたか?


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