自分の感想をデフラグする。

  まず先にお断りなんですけども…。
 このエントリーは自分がニュータイプ2025年6月号のファイブスター物語を読んで書いたネタバレ付き感想からどうしても気になったことについて、改めて幾つか検討し直したものになります。
 なのですけども
  • (再検討したからって)あってるわけじゃないですからね!(当たり前だ)
  • あくまでいち個人の感想ですからね!
 ということをお知らせしてから参りたいと思います。
※ニュータイプネタバレ付き感想については以下のエントリーからどうぞ。

・デコース・ワイズメルとエストはパルスエットが”ダブル・アライメントスーツ”を着ていたことを知っていたのか?

 というのが1つ目です。
 これはネタバレ付き感想でも書いたのですけども、デコース・ワイズメルの今際の会話がその通りであるならば、
「デコースがヨーンの脊髄をズタズタにして立ち去っても、負傷してる彼のファティマ・パルスエットがなんとかしてくれる」とデコースとエストは予測していた。
 エストにとってみれば、ヨーンが死なずに済む。だから彼女は希望を持てて、精神崩壊せずに済んだのだと言っているようにも聞こえます。

 ただこのときパルスエットも思い切り負傷しています。
 自身も重傷な中18巻で瀕死のヨーンに対し「5分と持たない」と察していました。
 でも、もしもこの時の彼女がデカダン・スーツ姿だったらヨーンを助けられなかったと思うのですが…。(スキッパーに医療機器を取りに戻らなければならないから)

 パルスエットが自分の命と引き換えにヨーンを助けられた。あれはかなり特殊な経緯でシアン夫人から頂いた”ダブル・アライメントスーツ”だからなし得たことです。ラキシスと彼女しか持っていない幻のファティマ・スーツ。

 ただヨーンがGTMに騎乗する気概があったのだったら彼女もアシリア・セパレートを着ていた可能性があり、その状態ならばやっぱり治療できたと思うのですけども、当時はあくまでフリーの騎士でしたからそういう身の上ではありませんでしたし、あのとき彼女はヘッドキャパシタもつけていなければ”ダブル・アライメントスーツ”の花のようなコンデンサもつけていませんでした。
 デコースとエストはそれでもパルスエットのあの格好を「アシリア・セパレート相当、もしくはデカダン・スーツではないと判断できたのか?」という疑問です。
(ここでデカダンスーツとアシリア・セパレートの見た目最大の違いはラミネート装甲かヘリオス金属かの差なんですけども、こういった差異は白黒の漫画、あるいはアニメーションセル画基準の設定画でもよく分からないんですよね…。)

 そこでパルスエットがダブル・アライメントスーツを着てた(おそらく唯一の機会)ノルガン・ジークボゥを救った3035年時のことを思い起こしてみることにします。
 あの時はデコースもエストもあの場にいなかった(だからアイシャとメレトレさんはバッハトマ関連の仕事をヨーンに回したのだと思う)けども、ツァイハイで行われた会議に出てきた重要人物の調査という内容でした。そして仕事をする彼にくっついてきてしまったノルガン・ジークボゥが暗殺されそうになる、というのがお話のメインだったと思います。
 ここには
  • バッハトマ軍(アーリィ・ブラストの黒豹部隊含む)
  • フィルモアの氷グループの1団
がいましたけどもここに更に
  • ヨーンが仕事でチェックすべきだった重要人物(ユーゴ・マウザー教授)にその護衛(ル・ゾラとフ・リエ。バッハトマがつけてる)
が加わります。

 マウザー教授はこの当時システム・カリギュラの主要メンバーで、当時バッハトマ中枢のボスやんやビューティ・ペールとサシで喋れた上に、強力な護衛を付けてもらえるような身分でしたけども、彼にはGTMの設計や生産だけではない他の仕事がありました。
 それはフィルモア帝国が依頼してきただろう「ノルガン・ジークボゥ暗殺」に関しての舞台のお膳立て。
 バッハトマ軍(ブラスト含む)も、フィルモアも茄里とアラン・リー以外全容を知らない感じの混乱の中、「マウザーは飽きて途中で帰ってしまう」ということになっていますけども、(本人がそう言ってる)実は帰っておらず、以下の一部始終を見ていたのならば…。
  • ジークが茄里に刺されて重傷を負う
  • 暗殺に巻き込まれたヨーンのAFパルスエットが(服を脱いで)治療する
  • お母さんががやってくる
↓↓↓↓↓
  • (マウザー達しっかり顛末を見届けて、フィルモアとバッハトマ両方に報告する。)
  • (バッハトマは得た情報をデコースとエストにも伝達する。)

 報酬を得るためのカリギュラの契約がどうなのか分かりませんけども、映画ゴティックメードでもずっと見ていた風ですし…。
 後半の2つのカッコ分()はあくまで私の想像です。この2つが成り立つのであれば、ヨーンのファティマが変わった服を着ていて治療していたのだから今回も可能だ→ヨーンは生き残れるという感じにはなるかもしれません。
 ただ、漫画に直接描かれていないことを、それも2段階で想像しなくてはならないのはあまりに複雑すぎるようにも思うのですが…。(勿論パッと連想できない私が頭悪いだけ、というのもありますけど💦)

・何故エストとバーシャの記憶についてあれこれ語っているのが製作者であるモラード・カーバイトじゃなくてミース・シルバーなのか?

 もうひとつとても気になったのがこちらです。
 魔導大戦勃発時にミース・シルバーがバッハトマの兵士たちを分け隔てなく治療したことがきっかけでデコースはミースと接触する機会を得られ、彼女を介してモラード・カーバイトにエストのメンテナンスを依頼します。(3031年)
 ミースは(恐らくモラードへの依頼ついでに)壊れてしまったアウクソーのこともなんとかしたくて彼に相談を持ちかけ、AFガーランド(プリズム・コークス、ナトリウム・星・桜子、サリタ・アス・ジンク)達を呼んでミースの家で会議みたいになったのがFSS13巻です。
 このときはモラードはエストの記憶について従来のこと(バーシャの記憶はエストになった途端消去される)しか話していませんし、ミースが尋ねているくらいだから、彼女も当時は状況を知らないでしょう。
 このような経緯がありつつエストはモラードの手によってメンテナンスされます。

 その後ミースはマキシ・カイエンを出産し、暫く聖宮ラーンで詩女フンフトと共闘している間にデコースに呼ばれてカステポーで会ってたようですけども、このときにどうもデコースに色々話しているのが今回の結果なのでしょう。(そんなことを後日アララギ・ハイトに話しているのが17巻・3062年です。)
 しかしエストのメンテナンスをしたのはモラードですし、ミースも13巻で「エストの完璧なメンテナンスはモラード博士でないと難しい」とデコースに話しています。では何故ミース?

 確かにモラードが直接エストをメンテナンスしていますけども、それはミース邸で行っています。
 だからミースはモラードから後日「エストの異変」を聞いた可能性は非常に高いのですけども、だったらエストのシークモード等に疑問に思っていた?デコースはわざわざミースを呼び出して聞くことではなく、エストが帰ってきた直後のモラードから直接聞けば良いのでは?と思ってしまうのですが…。(ガーランドの立場は基本中立、越権可能ですし、第一エストのメンテナンスは1ヶ月程度なのですから。)

 嗚呼。ひょっとして…。

 デコースはメンテナンスの依頼もミース経由でしたから、エストの生みの親には直接話がしづらい状況だとみるべき→やはりエストはメンテナンス時、身体中に出来ていた傷はやはり「デコースのDV、彼からの暴力によるもの」なのではないでしょうか。
 モラードにバレたら責められるのを恐れて、彼に進んで接触しなかった。おまけにミースは(仕事ぶりは信頼できるのもあるでしょうけども)若く(割と)世間知らずな女性でペラペラ喋ってくれるから、頼み事や物事を聞くのもチョロいと内心思っていたのかな…。
 これ書くとデコースファンの方に怒られそうですし実際連載時にそういった旨を書いたら”それはバーシャのときの傷だ”とコメントされたことがあります。(そうでなくても彼に仕えるようになって40年間傷があるのを放置してたのならばそれはそれで大問題だと思いましたが…。)
 でも、今回のことでやはりデコースは”エストは、ファティマは道具扱いだから何をしても良い”という考えだったのではないか?と考えざるを得ないところがあります。
 ただミースの話を聞いてからは、エストは自分の想像以上に脆そうだから、その後は道具として扱うとしても暴力とかは振るわなくなったのかな?という印象はありますけども…(”負荷”を与えるな、というところに強調が入っているところからも、この点ミースからも怒られた可能性はあります。)

・その他。

 これは先の2つの思い直しをしている間に気がついたというか考えが変わったというか、というあたりになります。
 この号、F.U.ログナーも妙な動きしてるんですよね。(ピッケルとシャベル姿があまりに変だったから気を取られてしまったけど😂)
 主に2つあります。
  1. 何故かエストに名前を名乗っている。(エストが幼い見た目に気が付かないからだろうけども。でもエスト以外の面々は皆さん誰だか分かってますよね)
  2. DESIGNS5で”彼は優れた騎士、敬意を持って接するべき騎士には「戦士」と呼ぶ”ようなことが書かれていますけども、デコース身罷った後で言っても、彼には届かないじゃん!!
 1はひょっとして「次のマスターは自分、どう?」と密かに思いつつ言ってる可能性もあるんですが…。なにせ彼はエストの足首大好き。なんか漫画本編以外のそこかしこで彼女に執着してる感じもたまーにしちゃうむっつりスケベっぽい描写も彼には見られているのですけども、それはまぁ冗談としても、勝者ヨーンに彼女をどうするか任せたとはいえ「彼はエストを殺さないだろう。記憶の話からしてヨーンをマスターにしたいと彼女が希望する可能性も高い。」「でも彼が断った時の有力な保護先として先に名乗った」ログナーそんな予測をしたのかな?と思いました。
 そうでないとエスト、また何処かに行っちゃう可能性が一応ありますしね。(ヨーンがエストを断った場合、勿論ログナーも主従の対象になるはずですが、エストはレディオス・ソープの正体を把握済みなので彼でも、あるいは桜子に次を託しお披露目してもらう展開でも良いんですけどね。)
 2は…上手く書けないのですけども、これ、結構問題というか…。
 よくSNSなどでエアリプという形で名指しせず対象をぼかしてー褒めたり指摘したりけなしたりみたいな事をされる方も時折いらっしゃるのだけども、あれと一緒のようなもので、相手にはほとんど内容は届いていないのですよ。(いや、褒め言葉は届かない、が正しいかな?悪口等は何故か巡り巡って届きますよ😅)
 あのログナーが戦士と言ってくれたのだから、もしデコースがその言葉を聞けたのなら、例え死にゆくものには一瞬であってもそれは最大限の賛辞だと思うんですけどね…。
(DESIGNS1でクローム・バランシェの母アルセニックがモナーク・セイクレッドの研究をずっとしていて彼女の今際の際に誰かが伝えた内容がアルセニックをとても満足させたように)
 
 デコースにはいつの間にかベルベット・ワイズメルという息子が誕生していますけども、そのことについては何も語っていない所をみると、恐らく彼は存在すら知らないんでしょう。もし知っていたらまず血のつながっている彼に何かメッセージを残すだろうからです。
 そしてエストに自分のことを覚えていてくれる様に語っていますけども、これ、別にエストに親しみを持ったわけでなく(記憶のことを聞かされてDV振るわなくなっただけマシですが道具であるという扱いに変わりがないでしょう。)エストというあまりに星団有名人(でいいよね)が自分のことを覚えていて、彼女が今後活躍すればするだけ自分の名前が残るという、”自己顕示欲”の変化球じゃないか?と今では思うようになりました。
 自分には血統も人脈もない、と評しながらも歴史に名を残したいし自分はそれだけのことはしてきたのだという自負はお持ちでしょうから。
 以前レーダー8も物語内で述べてましたけども、懸命に努力して生きていても、それが例え生前高い地位であっても歴史に名を残す、というのは中々難しいことと思います。
 でも、もしもログナーが「貴方は戦士だ」とデコースに伝えたのならば彼は満足して、そんなこと言わなかったのではないかな?と感じています。
 そうしたら貴方は一体なんと言ったのかな……。

 ただデコース本人には伝わらなかったけども(設定資料で予告されていたこともあり)読者にはログナーが彼を賛辞しているように伝わった。
 だからデコースの死には「哀悼の意」以上の読者間の感嘆と盛り上がりがあったのではないかな、という気もしています。(ひねくれた見方ですみません…。)

 今回は以上です。
 また怒られそうな気もしちゃいますけども💨あくまで弱小な私がネットでひとり思っただけですからねー!!

コメント

hide さんのコメント…
ログナーが「戦士」と言ったのは、今際の際にエストへの思いと天照に語った自分が騎士としてどういうつもりだったのかを聞いての心構えに対しての賛辞だったのではないでしょうか。武士号を感じたとかそういうの。
チーク さんの投稿…
hide様
 どうもこんばんは。コメントどうもありがとうございます。
 今回のエントリー内では”ログナーがデコースを”戦士である”と称したその理由”については特に何も書かなかったのですけども、それは今月号を読んだ方の数だけ色々思うことがあると思います。hideさんが思っている様に考えている方も少なくないでしょう。
 私も何かしら思ったことがあるんですけども、それは個々人が思うそれぞれが一番大事だと思うので今回示す予定はないです。
 ただログナーは恐らくFSSで一番御長寿で、はるか昔から物語ラストでも何らか存命している(おまけに他宇宙世界でもログナーがいたりする)「でも神様でもない人類側の者」という立場ですから、これまでも膨大な人類を見送り、今後もそんなことが延々と続くんでしょうね。