~へっぽこからのお知らせ~

◯11月22日(水)1810分~TOHOシネマズ赤池(愛知県。名古屋の方は地下鉄鶴舞線でどうぞゴティックメードの再上映が一回限りであります。新しい施設オープン前でかなり直前ですがご興味ある方是非とも足を運んでみて下さい!

◯配布物Fughetta.シリーズ3冊について。バックナンバーに関してはお申込みを締め切らせていただきました。今迄お申し込み頂いた皆様どうもありがとうございました。
最新号3に限り、年末まで郵送も受け付けます。お問い合わせフォームにてご住所、お名前、お誕生日(要年齢確認のため)お知らせくだささい。
※尚配布物に記載したコラムについてはブログ公開予定はございませんのでよろしくお願いいたします。

奇妙な手紙、奇妙な旅路。(2)

「良かった、気付いてくれたんだね。」
外は満月一歩手前の月明りに僅かに照らされている。
城の外にある公園の、更なる高台にある巨木の下に寄り添っていたのは…何故か姿を隠す為のマントを着込んだ人影だった。
弾んだ声とともにフードは下ろされ、私の目前で笑みを見せてくれたのは…いつもの、わたしのマスターだった。
「お手紙を見て、来ました。」
何と言って良いのか判らず事実だけを伝えようとすると、マスターは私が空白の手紙に不満を覚えたという認識をされたのか、ごめんごめんと頭を掻きながらも、こう続けられたのだった。
「面白い事があったから本当はそれを書きたかったんだけど…信じて貰えるかも分からなかったから。でもウリクルには話しておきたくてね。結局君を呼び出す形になってすまなかった。」
「信じられないこと…何があったのですか?」
マスターは…何だか気まずそうな、でも話したくてウズウズされているような、相反する表情を私に見せた後、マントを翻して、その中に入るように促されるのだった。
「いい?今から話すことは…君だから大丈夫だろうだけど、ナイショだよ。笑うのは構わないけど」
そう仰りながら、月明かりですらマントに隠されてしまって殆ど何も見えなくなってしまった私を、マスターは更に引き寄せて、自分の顔を外に出すようにしてくれた。
そんな私を見遣ってニッコリし、私は…わたしは気がつけば何時の間にか肩に手を回されて身動きの取れない状態になっていることに、マスターに触れている温かさに、どこか浮ついて夢見心地になりながら、話の続きを待つのだった。

「昨日夕方に手紙を書く便箋を買いにヤースに潜り込んだんだ。年の瀬の街の様子も見たかったしね。」
「まさかこの為に…それも、それもおひとりでですか⁉」
「うん。」
「どうせなら何時もの素っ気ない国家章のアレじゃなくて、君が気に入ってくれるような、女性らしい感じのにしたくてね。」
わたしはあっけらかんと呟くマスターの…近過ぎる眼差しもそうだし、まさかそんな事に時間を使って下さる自分の迂闊さを嘆き、…なのだけども、あの妙にファンシーな柄の手紙も思い出してしまい、それとマスターの話す「わたしのお気に入り」の印象とのズレも少し感じてしまったりして…結局は目を逸らして全てを悟られないようにするしかなかったのだった。
幸いマスターはそんな私の様子に気づくことはなく、話は続けられた。
「最初はミュージアム・ショップにでも行けば洒落たのがあるだろうと思ったけど、美術館じゃ怪しまれるどころか正体がバレそうだし、第一もう夕方で閉館していそうだから、街の文房具屋さんでも探してみようかと思ったんだ…なんだけどね、これは僕にとって情けない話なんだけど…道に迷ってしまったらしくって。」
「⁉どうしたんですか?」
私はマスターの話す続きが怖くなってきてしまった。
「年末だからかとにかく人混みが凄くて、とりあえず避けるように歩いていたら煉瓦作りっぽい建物が見えてきたんだ。そこなら案内板でもあるかな、と思って行ってみたのさ。そうしたら、だよ。」
「…黄色い列車がやって来たんだよ。」
「…どうされたんですか。」
首都ヤースへは何回かしか行った事がないけれども、どれも私には聞き覚えのない話だ。
黄色い列車?私は息を呑んで次の言葉を待った。
「面白そうだから、乗ってみた。すぐに列車は動いたよ。」

…一体マスターは、何処へと出かけられたのだろう??

「皆家路を急いでいるのかな。同じような黒や茶色の外套を着た男性が多かったし、途中で物凄い人が乗り込んできてびっくりしたけど、でも駅間が短いのか、すぐに空いてきて…何故か端末を多くの人が真剣に見ているんだ。こっちのことは見て見ぬふりみたいで助かったけど。」
「でもどこまで行くのか正直分からないし、尋ねてぼくが誰だか判っちゃったらマズいから、思い切って途中で一度下りてみたんだ。そうしたらね…」

マスターの余りに奇妙な話…実はこれは作り話なのではないかという疑いを持つべきなのか、私は悩みながらも話の続きを待った。
「そこは下りる人の割に、食べ物屋さんが何件かあるだけで静かな街だったけど、降りたところにロボットが祀られていたんだよ。」
「ロボット…?」


この記事をシェアする

0 件のコメント :

コメントを投稿