星降りの夜(4)

その2 2987年


「・・・ジュノーはまだまだ新しい惑星だということかな。はじめて聞いたときは、いろいろな言い伝えが星の歴史として残されるんだな、と思ったよ。」
「"星降りの日"の事ですか。」

あの日と同じ7月のとある夜だった。
ふたりがいた場所も、彼らを煌きで見下ろす満天の星空も、しかも傍にいる彼女の姿も全く同じように見えた。
違っていたのは、最近手入れが入ったばかりらしい刈り込まれた芝と、彼・・・コーラス3世の姿形だけだった。
ウリクルは、着ている服がコーラス王朝の制服である事以外は、何ら変わった様子がないように思える。しかしあれから27年の歳月は、コーラスだけを大きく変えてしまっていた。
彼はいまや星団屈指の大国の王であるし、妃も王女ももうけている。栗色の髪も長くなって背も高くなって、鍛え上げた勇ましい姿は、何よりとてもではないが学生には見えない。
しかし、ウリクルが聞く彼の言葉は、鷹揚な一面の残るのんびりとした口調は、以前と全く変わらないように思えた。
ただしそんな彼を知っているのは、もう他に数えるほどしかいないだろう。

あと一つ、違っていたとすれば、、ウリクルは、彼の腕の中でそのことばを聞いていたのだった。

「モラードが呼び出してくれて助かったよ。最近あんまり気が進まない事が多くてね。」
「父様がですか?確かに私はメンテナンス中でしたが・・・」
「そうだよ。たまにはどう?だって。ホイホイ誘いに乗っちゃったよ。・・・もっとも、彼も、随分弱くなったのかな、今頃ソファーでいびきを掻いていると思う。」
彼女のために酒をわざと控えていたコーラスは、そしてモラードを父と呼ぶ人工生命体のウリクルは、お互い屋敷の向こうで繰り広げられている同じような想像を思い浮かべて、二人で笑いあうのだった。

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