ささやかな最大権力(12)

地下のモーターヘッド・ハンガーへと、ふたりは城の廊下を並んで歩いていた。
窓の外からは、夕暮れの茜色が今日も白亜の城壁と、彼らを優しく包み込んでいた。

「マスター、さっきのあれでは・・・ばらしているようなものではないですか!」
小声で不服を述べつつ、ウリクルは心配そうな表情を隣のコーラスに向けた。
「怪しいと思われるのなら、いっそ解ってしまったほうが良いよ。また何か頼めるかも知れないし。」
「そんな・・・」
「大丈夫だろう。二人ともある意味真面目みたいだしね。」
ウリクルは不安そうに後ろを振り返ったが、もう二人の姿は遠くなりすぎてここから望むことは出来ない。

嘘はばれるもの。自分でそう言っておきながら、実際もそうなっているのだけども・・・。
でも秘密は・・・ふたりだけの秘密は、決して外に漏れて欲しくはない。
ここにいる"嘘つきの"マスターの為にも、どうか。
ウリクルは願うような気持ちを抱えつつ、コーラスに付いて歩き続けるしかなかったのだった。

「さっきのお菓子みたいに、マスターの痛みも半分こで受け取れたら良いのに。」
「・・・最中みたいにかい?」
突然のウリクルの風変わりな言葉に、驚きつつも彼女の主人はふと立ち止まり、ウリクルの曇ったアメジストの瞳をじっと見つめ、笑ってこう答えるのだった。
「でも君が聞いてくれるのなら、その時点で半分こになっているよ。ありがとう。」


コーラスは周囲を見つめ、誰もいないことを認識してから、ウリクルの左手をそっと握り締めた。
そしてまた、二人とも歩みだしたのだった。



おしまい。

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