~へっぽこからのお知らせ~

◯11月22日(水)1810分~TOHOシネマズ赤池(愛知県。名古屋の方は地下鉄鶴舞線でどうぞゴティックメードの再上映が一回限りであります。新しい施設オープン前でかなり直前ですがご興味ある方是非とも足を運んでみて下さい!

◯配布物Fughetta.シリーズ3冊について。バックナンバーに関してはお申込みを締め切らせていただきました。今迄お申し込み頂いた皆様どうもありがとうございました。
最新号3に限り、年末まで郵送も受け付けます。お問い合わせフォームにてご住所、お名前、お誕生日(要年齢確認のため)お知らせくだささい。
※尚配布物に記載したコラムについてはブログ公開予定はございませんのでよろしくお願いいたします。

ささやかな最大権力(11)

ふたりが互いの身を寄せ合っていた時間は決して長いものではなかった。
でも、今のふたりには例えそれが十秒であっても、それで充分だった。
「・・・ちょっとジュノーンの様子でも見てから支度しようかな。」
「マスター、お時間大丈夫なのですか?」
「彼の顔だけ見たらすぐ戻るよ。ウリクルも一緒に行かないかい?」
「・・・陛下の日程にくれぐれも支障をきたさないよう。」
いつものウリクルらしい厳しいひとことのあと、見せた笑顔にコーラスはくすぐったいような気分を覚え、その気持ちを顔に出しつつもう一度、もう一度だけと口付けを交わすのだった。


ふたりが地下のモーターヘッド・ハンガーへ移動しようと部屋の入り口を開けた所、その先にいたのも二人・・・ハミルと先輩がヒソヒソ話をしている姿だった。
一方は予想できなかった展開に二人ともギクリとし、もう一方は一瞬時計を見直してから、慌てて敬礼を主君に向けるのだった。
コーラスはハミルの隣にいるトリオ騎士が、自分の外遊に同行した者ではなく、最中を買いに行くようにと頼んだ人物である事に安堵しつつも、咳払いをひとつして、
「・・・何もなかったかい。」と努めて冷静を装いハミルに尋ねてみた。
それを一種の圧力のように感じてしまったハミルは、思わずこう答えてしまったのだった。
「へ、陛下。先程副団長がいらっしゃって、その、陛下は頭が痛いから、とおっしゃっていたのですが、大丈夫でしたか?」
その言葉を、先輩があっけに取られた顔をしてハミルを見返したのだった。
(お、おい、バカ正直すぎるとさっき言ったのに・・・!どうするんだよ!)
先輩が慌てつつも向かいの二人の顔を確認すると、一人は苦笑いのような表情を隣に向け、もうひとりはうつむき加減で何かをこらえているように見える。
「ん、ん・・・もう治ったよ。ちょっとジュノーンを見に行ってくるから。じき戻る。」
ハミルは動転したまま、本来ならここでコーラスの回復を喜ばなくてはならない所を、時計をもう一度見返して
「15分後にはここに戻ってきて頂かないといけないと思います。お願いいたします。」
とだけ答えてしまい、言い終えてから尚の事気まずい雰囲気に陥ってしまったのだった。

「うん、分かったよ。すぐ帰ってくる・・・。それと、」
コーラスはハミルと先輩の分かりやすいうろたえぶりを少しだけ感謝しつつ、と同時に申し訳ないとも思いつつ、声を低く出すよう意識し、二人にある言葉を言い放つのだった。
言われた側は、顔を上げた者の視線がいつになく鋭く光ったような、そんな恐怖も合わさって。

・・・今日の事は他言無用とする様!! では行って来る。」

そしてハミルと先輩の前から、着物姿のコーラスと、茶器の載せられたお盆を両手に持っていたウリクルは・・・彼女は済まなそうにして、再び姿を消してしまうのだった。
・・・とその前に、先輩が慌てて自分の用事を思い出し、コーラスの背中に向かって声を張り上げた。
「へ、陛下!この最中はどうするんですか!?」
「任せる!あとで弾んでおくよ。」
コーラスは振り返らなかったが、先輩と同じように声を上げ、二人に後ろ手を振ったのだった。


陛下とウリクルの後姿を呆然と見送った後、ハミルが先輩の持つ紙袋を見返しつつ、ポツリと呟いた。
「センパイ、その最中"金のもなか"に化けましたね。」
「何言っているんだ。俺が陛下にゆするたかるとでも思っているのか?」
疑惑の視線に対し、先輩も大真面目な顔をしてハミルに応酬した。
「・・・センパイがそう思わなくても、きっとそうなりますよ。」
彼らしからぬ態度に、思わず噴出しそうになりながら、ハミルは先輩に対してそう決め付けるのだった。
「しっかし、・・・判りやすいよなぁ。」
先輩は誰もいなくなった廊下を見つめつつ、出かけてしまった二人のことを考えてしまうのだった。
「ハミル、お前喋るんじゃないぞ!」
「センパイこそ!」
お互いがお互いを見合わせ交わした牽制の言葉は、やがて漏れるような笑い声に変わっていったのだった。



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