~へっぽこからのお知らせ~

◯11月22日(水)1810分~TOHOシネマズ赤池(愛知県。名古屋の方は地下鉄鶴舞線でどうぞゴティックメードの再上映が一回限りであります。新しい施設オープン前でかなり直前ですがご興味ある方是非とも足を運んでみて下さい!

◯配布物Fughetta.シリーズ3冊について。バックナンバーに関してはお申込みを締め切らせていただきました。今迄お申し込み頂いた皆様どうもありがとうございました。
最新号3に限り、年末まで郵送も受け付けます。お問い合わせフォームにてご住所、お名前、お誕生日(要年齢確認のため)お知らせくだささい。
※尚配布物に記載したコラムについてはブログ公開予定はございませんのでよろしくお願いいたします。

降り積もる祝福(2)

「マスター、どうかしたのですか?まさか具合が悪くなったりしたとか・・・」
ひそやかな声が聞こえてきて我に返り、声のする方向を向くと、ウリクルが心配そうな表情を浮かべて、僕の斜め後ろまで近づき、僕に声をかけてきたのだった。
彼女にはこの日のために、ずっと練習にも付き合わせてしまっている。
最初はどうにも失敗ばかりだった僕が、繰り返し繰り返して、何とかここまでもって来られたのに、どうやら密かなため息が、ウリクルを不安にさせてしまったようだ。
僕はウリクルを自分の真横に立たせると、どうにか彼女にだけ聞こえるように口を小さく、くぐもらせて声を発した。
「・・・ごめん、違うんだ。やっと、もうすぐ終わりなのにね。」
顔は真正面に見えるはずの国民の方に遣りつつも、彼女に言葉を続けた。
「想像はしていたけど、実際はもっともっと凄かったね。この歓声、この紙吹雪・・・。でもふっと思ってしまったんだ、こうなるのはずっとわかっていた事なのに。国王って・・・僕がこれから担うのは重大な"役"なんだって。」
ちらりと視線をウリクルのほうに向けると、彼女はどこか戸惑っているようにも見えた。
「役って・・・それは演じるということですか?」
周りに決して漏れないよう、注意深く周囲を見渡しながら、彼女は小声で僕に囁きかけた。
それは誰かに聞かれるかもしれない危険な会話だったかも知れないけれども、どうしても口にしないと落ち着かない不安が、その時はあった。
「それも千両役者にならないといけないのかもね。常に自信を持って、常に微笑を絶やさず。」
「この紙吹雪が降り積もるように、沢山僕らは期待されているのだと思う。君だってそうだよ、ウリクル、君だってただの・・・」
ファティマではないよ。と言おうとして、その時は口をつぐんでしまった。

それは随分前から、自分の心に引っかかっていた事が、まだ解決していなかったからだ。僕はまだあの時のことについて、彼女に尋ねていなかったから。
ウリクル、君は自分の立場・・・人工生命体であるファティマである事を拒絶するようなことを、一人呟かなかったかい?
そしてそれは何のため?
・・・何のためかも予想してはいたけれど、肝心の僕が、それを聞けずにいた。
感情を制限され、騎士に仕えるのが「仕事」のはずのファティマが、そんな事を言うのか?
もしこれが僕の見当違いだったら、ただでさえ戸惑わせてばかりのウリクルを余計に困らせる。
そしてあの時のような悲しい顔を、自分は二度と見たくはなかったのだった。

だったら、このままでいい。


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